『夢みるかかとにご飯つぶ』でエッセイストデビューした清繭子の、どちらかといえば〈ご飯つぶ〉寄りな日々。
文学フリマ、できるかな
12月1日、東京ビッグサイトで行われる文学フリマに初出店することになった。
文学フリマとは、簡単に言えばコミケの文芸版。小説、エッセイ、詩集などプロ・ アマ問わず自分の作品を販売するイベントである。
途中、出店の抽選に外れたり(文芸仲間のマイスさんがブースを間借りさせてくれた)、急に入院することになったりと、ほんとに出店できるのかドキドキしていたけれど、なんとか原稿は完成。
あとはこれを印刷屋さんに印刷してもらうだけである。
日も迫っているので、以前名刺を印刷したことのある大手オンデマンド印刷会社を使うことにした。
デザインソフトは使い方がわからない。幸い、「Wordでも入稿できます!」と書いてある。
Wordをpdf化し、ページごとにナンバリングして送れば冊子になると……。
なぁんだ、カンタンカンタン。
と入稿したあとに、急にドキドキしてきた。
待って……!
あれってあのままのサイズで印刷されるの? 余白が取られてそのぶん中の文字が縮小されたりしない……?
試しに送ったpdfを家のプリンターで「用紙に合わせる」 にチェックを入れて出力してみる……。
文字が……文字が……小さくなってる……!
今度は「実際のサイズ」にチェックを入れて出力してみる……。
イメージ通りの読みやすい文字サイズで出てくる。
慌ててお問い合わせ窓口にメールする。
「 印刷されたときに9Qになるようにしたいんですけど、私の入稿したデータはそうなっていますか!?」
「恐れ入りますが、お客様の購入されたプランは仕上がりイメージの確認ができないプランとなっております。ご自身で確認いただくようお願い致します」
あの……その確認はどうすれば?
「実際のサイズ」にチェックを入れればイメージ通りのものが出るんです。だとすればOKってことでしょうか……?
その返事はこうだった。
「お客様のデータは無事入稿されました。印刷を進めてまいります」
あーっ! 印刷されてしまう……!
そして次に来たメールはこうだ。
「印刷が完了しました。出荷いたします」
あーっ! 印刷されてしまった……!
もう後戻りできない……。こんなことなら、大手じゃなくて同人誌専門印刷屋さんに頼めばよかった。
私の素人過ぎて意味のわからない質問にも、きっと慣れっこで答えてくれただろう。自動応答なんかじゃなくて……。もうあとは、祈ることしかできなかった。
そして、届いた小冊子がこちら。
無事読める文字で印刷されていた。ホッとしすぎてもうそれだけで文学フリマが終わったような気になったけれど、ここからが本番。
色んな人の体験談を読むと「基本、売れないものと考えたほうがいい」らしい。ひぃぃ……! そんなぁ!
今はどうか売れますようにと、毎日小銭を集め、お釣りを渡すイメトレをしている。
※文学フリマ東京39は、12 月1日に東京ビッグサイトで開催。清のブースは、O-58 です。「 夢みるかかとにご飯つぶ」も販売するので来てね!
配信: 幻冬舎Plus