山梨県北杜市、美しき丘で生まれる極上のワイン~注目の新品種はこうして誕生した。No.018

山梨県北杜市、美しき丘で生まれる極上のワイン~注目の新品種はこうして誕生した。No.018

市場を席巻する人気のぶどう、シャインマスカットのように、末永く愛されるヒット品種を―。今回の主役は山梨県北杜市で醸されるワイン。市の南部、明野〈あけの〉地区は日本有数の日照時間、少ない降雨量、昼夜の寒暖差…とワインのためのぶどう栽培に適した自然条件に恵まれています。その明野で注目を集める美しきワイナリーへ。ほかにも、ふるさと納税から厳選した北杜市の美酒、美味もご紹介!

日本有数の日照時間!
北杜市が誇る極上のワイン

ドメーヌ・ド・ラ・アケノ ヴェニュスのぶどう畑。空気の澄んだ日は畑の南に富士山の雄姿も

そのぶどう畑は正面に富士山、反対側に八ヶ岳、右に甲斐駒ヶ岳をはじめとする南アルプス、そして左に茅ヶ岳〈かやがたけ〉と四方を名峰に囲まれたみごとな景色の高台にありました。

畑の主は2018年開業のドメーヌ・ド・ラ・アケノ ヴェニュス。「初めて訪ねてきてくれた誰もがこの景色に驚くんですよ。もちろん私もそうでした」と笑いながら案内してくれたのは、ドメーヌの代表で醸造家の吉田修三〈よしだしゅうぞう〉さんです。


ドメーヌ・ド・ラ・アケノ ヴェニュスの皆さん。左からぶどう栽培を担う吉田雅人さん、父で醸造家の吉田修三さん、雅人さんの子で修三さんの孫である百花〈ももか〉さん、雅人さんの妻の菲〈フェイ〉さん

「日本人が丁寧にやれば、欧米に負けない、複雑な味わいのワインが必ず造れるはず」。東京都の区職員だった修三さんは定年退職を機に一念発起し、山梨県立農林大学校職業訓練科へ。県内のワイナリーで実習を積み、開業に向けて土地を探していたときに出会ったのが、年間2600時間超という“日本有数の日照時間”を誇る明野の地でした。

日照時間と絶景に惚れ込んだだけでなく、少ない降雨量と水はけがよい土壌、夏も比較的涼しく昼夜の寒暖差が大きいこと、風が吹き抜ける山の斜面にあることなど、良質なぶどうが育つための条件がここには揃っています。

雅人さんが丹精込めて育てているカベルネ・ソーヴィニヨン。ひと粒食べさせてもらうと、ジューシーで濃厚な甘さにびっくり

「ぶどうの木が持つ生来のポテンシャルを信じて自然に任せることがいちばん」と話すのは修三さんの次男で、ぶどう栽培を担う雅人〈まさと〉さん。そうして育てた糖度の高い濃厚なカベルネ・ソーヴィニヨンで醸す「アケノ ヴェニュス」は、爽やかな果実香とともにタンニンやポリフェノールを豊かに含み、ほどよい酸も感じられる骨格のしっかりとした赤ワインです。

そのアケノ ヴェニュスが2024年、北杜市のふるさと納税の返礼品に仲間入り。「なにかよいことがあった日や、特別な日にじっくりと味わってもらえたら」という言葉に、修三さんの自信がにじみます。

PICK UP! >> アケノ ヴェニュス

ドメーヌ・ド・ラ・アケノ ヴェニュスの「アケノ ヴェニュス」。写真は2022年リリースのボトル

2018年に誕生したドメーヌ・ド・ラ・アケノ ヴェニュスを代表する赤ワイン。山梨県北杜市の明野地区のぶどう畑で育てた、カベルネ・ソーヴィニヨンを100%使用。丁寧に育てるぶどうの収量ゆえに年間のリリース数は限られる。

ベリーの果実味が豊かで穏やかなタンニンの渋みとまるみのある酸、かすかにスパイシーさも感じる、深い余韻が続く複雑な味わい。

ステーキやローストビーフはもちろん、焼き鳥(タレ)や串揚げなど和食との相性のよさも魅力のひとつ。

名称/アケノ ヴェニュス
生産地/山梨県北杜市
ぶどう/カベルネ・ソーヴィニヨン

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