4歳のころ右手がプルプルと震えるなと思ったら、何回も嘔吐を。医師からは「ほとんどの子が1年以内に亡くなる」と説明され・・・【小児がん体験談】

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『頭の中に白いばい菌が入っちゃったんでしょ?』と治療を頑張る

沙紀ちゃんの陽子線治療は3カ月ほど続きました。

「病巣のみにピンポイントで放射線を照射するため、治療中、沙紀は1mmも動けません。そのため放射線治療装置に入るときには、体と頭部をしっかり固定します。頭を固定するお面には、放射線技師さんが沙紀が好きなキャラクターの絵を描いてくれました。そして治療の前には一緒に遊んでくれたり、大好きな音楽を流すなど、皆さんが一生懸命サポートしてくれました。おかげで沙紀は陽子線チームの皆さんが大好きになりました。

MRI画像を見た沙紀は、腫瘍が『白いばい菌』だと思ったようで、『頭の中に白いばい菌が入っちゃったんでしょ?』と言い、泣き言1つ言わずに頑張ってくれました。いつも笑顔を絶やさずに頑張る沙紀を見ると、つらくて涙が止まらないこともありました。

また医師からは沙紀の陽子線治療は、一時的な延命にしかならないということを説明されていました。
陽子線治療を受けて、腫瘍が大きくなるスピードを緩やかにすることはできましたが、すでに髄液にがん細胞が広がり、脳室や脊髄にもがん細胞がバラバラと広がってしまっていました」(理絵さん)

沙紀の経過を見た医師からは『沙紀ちゃんとご家族で1日、1日を大切に過ごしてはどうでしょうか』と言われました。

「夫とも残された時間を有意義に過ごそうと話し合っていて、自宅で訪問看護を受けることにしました。そして闘病から8カ月後、わずか5歳6カ月という短い命でしたが沙紀はお空に旅立ちました」(理絵さん)

お話・写真提供/島田理絵さん 協力/一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 グリーフサポートIERUBA(イエルバ) 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

■グリーフサポートIERUBA(イエルバ)
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■グリーフケアcafe つむぐ
https://cafetsumugu.my.canva.site/

小児脳幹部グリオーマは小児がんです。国立がん研究センターが運営する公式サイト「がん情報サービス」によると、日本では年間2000~2300人の子どもが小児がんと診断されています。なかでも小児脳幹グリオーマは、治療法が確立されておらず、診断と同時に余命宣告される厳しい小児がんと言われています。
インタビュー後編は、理絵さんの心を救ったグリーフケアについて紹介します。

「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年10月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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