マルハニチロの家庭用冷凍食品は、「新中華街」シリーズを筆頭に、販売は堅調に推移したという。同シリーズのプレミアムラインである「赤坂璃宮」を冠した各商品も、順調に推移しているようだ。加工食品ユニット市販用冷凍食品事業部部長の金谷信一郎氏に聞いた。
――2024年4~9月の冷凍食品市場全体の販売状況は。
当社で把握している市場のデータでは、前年同期比で6%ほど上回っている状態だ。値上げによって、売上はどのカテゴリーも好調に推移している。しかし、数量では若干落としているカテゴリーも見られる。インフレ基調の中で、生活防衛意識の高まりを感じており、プライベートブランド商品や低価格商品へのシフトが業界として進んでいるという印象を受けている。
――マルハニチロの販売状況は。
当社については売上と数量ともに前年同期をクリアしている。ただ、低価格志向の強まりを受けて商品によっては利益的に厳しい部分もあった。
「新中華街」シリーズの「五目あんかけ焼そば」と「横浜あんかけラーメン」は2024年の5~6月にCMを放映したこともあり、好調だった。同シリーズの「あおり炒めの焼豚炒飯」については、昨年は鳥インフルエンザの流行による卵液不足の影響で、販促をかけたかった時期に特売を入れられなかった。そのため、今年度はその反動で大幅に伸長している。「新中華街」シリーズ3品がけん引した状態だ。
新商品は、春に関東エリア限定商品として発売した「赤坂璃宮の餃子」も、導入店舗では順調に推移しており、今年7月から全国発売を開始したところ、売上・数量ともに好調に推移している。餃子市場は競合が強い中、具材感や食感などを追求した本格品質をコンセプトに取り組み、それが受け入れられていると感じる。計画以上の推移となっているので、しっかりと育てたい。
また、2024年の秋に新たに発売した「赤坂瑠宮の五目シュウマイ」も順調な推移を見せている。餃子とのシリーズ訴求も奏功し、順調な推移を見せている。この商品は以前、広島工場で生産していた商品のリバイバル品ということもあるので、定着させられるよう販売活動を進めていく。
弁当商材では、新商品として「オクラ3種おかず」を発売しヒットとなった。節約志向もあるが、利便性を改めて認めていただけているのではと思う。活用しやすい商材なので、一定のニーズはある状態で推移していくのでは。我々にとっても得意分野なので、気を抜かずに強化を進めていく。
――重点施策については。
繰り返しになるが、やはり「新中華街」シリーズの拡大だ。まずは「新中華街」シリーズを拡販し、それに合わせて他の商品も訴求することが重要になる。CMと連動した販促を売り場で行い、着実に販売を伸ばせた。
10月からは新たなCMも放映しており、今回は「五目あんかけ焼そば」と「横浜あんかけラーメン」に加えて「赤坂璃宮の五目シュウマイ」も投入している。
――簡便性ニーズの高まりについて、どう感じるか。
調理に時間をかけない、というニーズが増えてきていると感じる。当社の「五目あんかけ焼そば」も、トレーとセットにして販売している点が評価されている。「WILDish」シリーズも同様で、準備や片付けの手間などを省ける商品の引き合いは今後も伸びるだろう。
――2024年9月に値上げを実施した。その影響は。
2023年と比べるとやはり数量への影響は若干あった。昨今の物価高騰などでどうしても実施せざるを得なかった。
――下期以降の施策については。
「新中華街」シリーズはまだまだ成長の余地を残しており、大事に育てたい。また、「赤坂璃宮」を冠したプレミアムラインの商品も加わり、既存の売れ筋品と共に訴求し、商品ラインナップも含めて強化を進める。また成長カテゴリーであるワンプレート品は注目しており、当社もチャレンジしてきたいと考えている。
中長期的には、グループの海外拠点の更なる活用や、現地での販売などを進めていく。
〈冷食日報2024年12月2日付〉
配信: 食品産業新聞社ニュースWEB