2011年3月11日14時46分。あの日のことは、まるで昨日のことのように鮮明に覚えています。営業先に向かうため、社用車を運転していたときのことです。経験したことのない激しい揺れに襲われ、とっさに車を路肩に停めて様子をうかがいました。
まさか津波が来るとは…
揺れが収まったあと、ラジオから津波への警戒を呼びかけるアナウンスが流れました。「福島県、宮城県にお住まいの方は…」と。正直、この時点で避難すべきでした。危機感を抱いてはいたものの、まさか本当に津波が来るとは思っていなかったのです。
周囲は住宅が倒壊し、道路はひび割れていましたが、それでも「自分だけは大丈夫」という根拠のない楽観的な考えが頭をよぎりました。
しかし、その考えは甘かったのです。揺れが収まってから約20分後、状況は一変しました。車を走らせていると、四方八方から水が押し寄せ、まるで川のように道路や街中を飲み込んでいったのです。
車ごと流されて…
みるみるうちに水位が上がり、私の車はあっという間に浮き上がってしまいました。「ヤバい!」と思ったときにはすでに遅く、車から脱出することもできず、ただただ車と共にプカプカと流されていくしかありませんでした。
やがて、大きな商業ビルに衝突して車は停止。何とか窓ガラスを割り、外へ脱出しました。辺り一面には木材が漂っており、それにつかまりながら商業ビルの非常階段へ。必死にしがみつき、階段を駆け上がりました。あの瞬間は、まさに九死に一生を得た思いでした。
配信: 介護カレンダー