誤嚥と肺炎のリスク
口腔内環境が悪化することにより、最も懸念されるリスクの一つが誤嚥性肺炎です。誤嚥(ごえん)とは、食べ物や飲み物が誤って気管に入ることで、特に高齢者や体力の低下した方々にとっては非常に危険です。口腔内の細菌が増殖した状態で誤嚥が起こると、気管や肺に細菌が入り込み、肺炎を引き起こす可能性が高くなります。誤嚥性肺炎は命に関わる場合もあるため、避難所生活中も適切な口腔ケアを行い、細菌の繁殖を防ぐことが重要です。
歯ブラシがない場合の口腔ケア方法
避難所生活では、歯ブラシや歯磨き粉が手に入らない状況もあります。そのような場合でも、いくつかの方法で口腔ケアを行うことが可能です。まず、最も簡単な方法として「水だけでもうがいをする」ことが挙げられます。水を使って口をすすぐことで、食べ物のカスや細菌をある程度除去することができます。特に食後は意識的にうがいを行うことで、口腔内を清潔に保つことができます。
また、ティッシュやガーゼなどで歯を拭き取ることも有効です。歯や歯茎をやさしく拭くことで、汚れや歯垢を取り除くことができます。この方法は、特に高齢者や歯磨きが難しい方にもおすすめです。また、ガムを噛むことで唾液の分泌を促し、口腔内を自然に洗浄する効果も期待できます。噛む動作自体が口腔内の運動にもなるため、唾液の分泌が少なくなりがちな避難生活では積極的に取り入れたい方法です。
配信: 医科歯科健診コラム