●こうした未確認情報を第三者がリポストするなど拡散する行為は罪に問われるのか?
次に、この未確認情報を第三者がリポストして拡散する行為も、そのリポスト自体が上で説明した名誉毀損罪(刑法230条)や、民法上の名誉毀損(民法709条)の要件を満たす場合には、罪に問われたり、損害賠償請求をされる可能性があります。
単にリポストしただけでは、リポストした人が事実を摘示したわけではなく、元の投稿者が名誉毀損にあたるだけなのでは?とも思えます。
しかし、裁判例では、このような場合にも民法上の名誉毀損が成立するとして、不法行為に基づく損害賠償を認めています。
その理由についてはいくつか考えられます。リポストにより権利侵害が増大していくという実質的な考慮もあるでしょう。また、リポストした人が仮に、元の投稿と反対の意見を持っていたりすれば、その意見をつけてリポストするはずであって、何らのコメントも付加しないでリポストした場合には、当該元ツイートの内容に賛同する意思を示して行う表現行為であると考える裁判例もあります。(大阪地裁令和元年9月12日や、東京地裁令和3年11月30日参照)
いずれの考え方にせよ、リポストした人自身が、単にリポストしただけでも名誉毀損となる場合もあるので、十分注意が必要です。
●SNSの利用にはくれぐれも注意
今回のケースでは、STARTO社も大野さんの件では名誉毀損行為としての法的措置をとることを、また、他のタレントに関しても誹謗中傷投稿に対しては法的措置を含めた厳格な対応を行うことを発表しています。
簡単に投稿できてしまうSNSですが、投稿された側の被害は甚大なものになります。 安易な書き込みをしたり、リポストをすることで、刑法上・民法上の責任を問われるおそれがあることにくれぐれも注意すべきだと思います。
(弁護士ドットコムニュース編集部・弁護士/小倉匡洋)
配信: 弁護士ドットコム