子育て世代の声をもとに作られた「あそびば」
来場者が書いた感想を掲示するコーナー
子どもも大人ものびのびと過ごせる「あそびば☺とーはく!」。イベントが企画された背景には、総合文化展(平常展)に来館した方々のこんな声がありました。
・(保護者が)子どもに作品の説明をするのはハードルが高い
・授乳室や飲食可能な休憩スペースなど、子どもと過ごすための環境が十分に整備されていない
・「騒いではいけない」「走ってはいけない」などの展示室におけるルール・マナーは、子連れで観覧する際に厳しいと感じる
※「あそびば☺とーはく!」プレスリリース(掲載日:2024年8月20日(火))p.4より抜粋
東京国立博物館では、すべての世代が文化財に親しめる博物館を目指して事業を展開しています。
しかし、総合文化展の来館者のうち、子どもの割合は10%前後で推移しているそうです。
そこで、来館者の声をもとに、「あそびば☺とーはく!」が試験的にスタートしました。
また、来館者の要望に応えるため、以下の工夫がされていました。
・⼦ども向けに博物館を楽しむためのリーフレットを配布
・会場内と外にベビーケアルームを設置
・会場内に水分補給スペースを設ける
リラックスエリアにある博物館のリーフレット。博物館を楽しむポイントが分かりやすく書かれています。
会場内の水分補給スペース
期間限定のイベントですが、この企画をきっかけに、東京国立博物館のサービスを利用者の立場から見直していくとのことです。
実際に、「あそびば☺とーはく!」でもアンケートを実施しており、スタッフが来場者に「ぜひご意見を聞かせてください」と促していました。
子育て世代の声をもとに、親子で気兼ねなく利用できる場所を目指していることが伝わってきます。
まとめ:親子で楽しむ博物館へ
子どもたちが一番楽しかったエリアにシールを貼るコーナー
筆者自身、「博物館は静かに展示を見る場所」というイメージを持っており、未就学児の娘を連れて行くには抵抗がありました。
しかし、「あそびば☺とーはく!」を訪れて、印象がまったく変わりました。「あそびば」で楽しい時間を過ごしただけでなく、娘が総合文化展にも興味を持ったからです。
娘が仏像や工芸品に関心を示すとは予想もしなかったため、驚きました。「あそびば」での経験を通じて、展示も面白いと感じたのでしょう。
「あそびば☺とーはく!」のウェブページには、こんな一文があります。
「博物館で思い切り遊んで、未来を担う子どもたちに、『楽しかった!』という気持ちを持ち帰っていただきたい」
※東京国立博物館「あそびば☺とーはく!」ウェブページより抜粋
子どもたちに「博物館は楽しい」と感じてもらえれば、誰でも気軽に来られる場所になっていくと実感しました。
博物館にお子様と行くのをためらっている方も、「あそびば☺とーはく!」を入り口に、ぜひ博物館の面白さに触れてみてくださいね。
《参考》
・東京国立博物館「あそびば☺とーはく!」ウェブページ
・「あそびば☺とーはく!」プレスリリース(掲載日:2024年8月20日(火))
配信: イロハニアート