開始30分で鬼門をクリア!
その約30分後、やっとオオモリがポイントに到着した。この男、言いたくないが小学生の頃から釣りが上手い。一緒に釣りに行って、私は何度も煮え湯を飲まされてきた。ただ、サケ釣りだけはどういうわけか全然釣れないのだ。初めてサケ釣りに行ったのは2021年11月の手取川。それ以降、毎年様々な川に行ったものの3年連続オデコ。4年目となる今年も、すでに富山県の小川でオデコを食らっている。
私「オオモリ、さすがに今年は釣れるんじゃないか?」
オオモリ「この2日間でなんとか1本釣れれば、それでいいよ」
もちろんオオモリもディープクランクを用意してきたが、まずは手堅くミノーから投げ始めた。すると30分もしないうちに、ロッドがぐにゃりと曲がった。右往左往して手にした獲物は68cmのメス。
オオモリ「俺、このまま釣りしないで帰ってもいいわ」。
4年越しの夢がかなって、オオモリは感無量だ。でも、肩透かしというか、あっけない感じが否めない。
野球で最も感動的なゲームとは、どんな展開だろう?典型的な例を挙げると、9回裏の逆転満塁ホームランでサヨナラ勝ちするのがドラマチックとされている。釣りだって、狙った魚がなかなか釣れなくて、最後の最後にビッグサイズが釣れるという幕切れが、物語としては美しい。最悪なのは釣れないで終わることだが、次に悪いのは何だろう?序盤であっけなく目標を達成してしまい、そのまま何もなく終わるという展開ではなかろうか?世にいう「尻すぼみ」という流れだ。今回、私は釣り開始20分で目標達成。オオモリも30分以内に夢を叶えてしまった。ところが、その後は1本も釣れずに初日を終了。なんとなく、尻すぼみになりそうな気配?
ただ、目標のすべてを達成したわけではない。サケ有効利用調査というのは、基本的にメスが釣れたら漁協に渡して増殖に利用してもらう。釣り人が持って帰っていいのはオスだけなのだ。そのオスも、五十嵐川では1日2本までと制限されている。私としては、当然持って帰って食べたい。というわけで、2日目は「オスを釣る」ことをメインの目標として、モチベーションを上げることにした。宿泊した宿は、昨年と同じJR三条駅の目の前にある「みなとや旅館」。清潔でありながら昭和レトロ感が漂う風情ある客室、手間を惜しまずに作られた美味しい料理、そして真心あふれる接客が嬉しい宿で、今年も迷わずここを予約した。
2日目のミッションは「オスを釣る」
みなとやさんで6時に朝食をいただき、ミーティング開始時刻の7時には余裕を持って鮭小屋に到着。初日と違って準備もできていたので、8時からロッドを振ることができた。夜にまとまった雨が降った影響で、この日は少し水量と濁りが増して、見えるサケが減っていた。でも、8時15分頃にはスプーンで1本釣れて、8時半にはまた「キックバッカ―」で1本。そして、「キックバッカ―」のカラーを変えたら、9時ごろに本日3本目のサケが釣れた!これがこれまでで最大の76cm。しかし、全部メスだったのだ。
私「オスが釣りたい」
丸山さん「ディープクランクはメスが釣れやすいって話を、大森さんから聞いたことがあります」
私「そうなんですか?」
丸山さんからの衝撃発言!でも少なくともこの日は明らかにディープクランクへの反応がいい。乗らなかったアタリも何度かあったし、バラシもあった。しかも、使っていて楽しいので、きっとオスも来るはずだと思い、ほぼディープクランクで押し通してしまった。基本はボトムノックだが、流心に投げて少しドリフトさせて、ゆっくり巻き始めると「ドン!」と喰ってくることが何度かあった。同じエリアで釣っていた他の釣り人に、80cmクラスのオスが出た。あんなでかいの私も釣ってみたいなあと思いつつ、「キックバッカ―」をドリフトさせて、ハンドルを2回ほど回すと・・・来た。
私「こ、これはデカいかも!」
体高が高い!そして「キックバッカ―」を咥えた口は先が曲がっているように思える。やっとオスがかかったようだ。これまでの4本とは全く異次元の引きだったが、7フィート7インチ・ヘビーアクションのベイトロッドに25ポンドのフロロラインなので、冷静にファイトすることができた。メジャーを当てると78cm。80には届かなかったが、十分すぎる大きさだ。この日はオオモリも3本のサケを釣り上げ、尻すぼみではなく、想定をはるかに超える大満足の釣行となった。そして私は2日間で釣った5本のサケのうち、4本がディープクランク!明らかに効果があるといえるのでは?
配信: 釣りビジョンマガジン