人工的に雨を降らせようとする試みは、古くから行なわれてきた。 / (C)studioworkstock/PIXTA(ピクスタ)
地球上で起きていること、どれだけ知っている?
この地球で当たり前に感じていることでも、うまく説明できないことがありますよね。例えば、「青い空が夕暮れに赤く染まるのはなぜ?」「台風が日本列島めがけてやってくる理由は?」
そんな地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をご紹介します。太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球をめぐる大疑問にスッキリ回答!あらためて考えると、私たちはこの地球にまつわるさまざまなことを、じつはほとんど知らないのかもしれないかもしれません。
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。
人工的に雨を操ることはできるの?
人工的に雨を降らせようとして、火を燃やしたり、雲の中に大砲を打ち込んだりする試みは、古くから行なわれてきた。
科学技術の発達した現代では、任意に雨を降らせること自体は決して不可能ではなくなってきたが、晴天の空に雨雲をつくる段階までにはいたっていない。現段階では、すでに存在する雲に対して、雨が降るきっかけを与えたり、雨の降る量をさらに増加させたりする方法が主に研究されている。
このように、自然にある雲から雨を降らせる方法は、雨粒の「種(シード)」になるものを散布し、水滴や氷晶といった雲粒を雨粒へと成長させるため、「シーディング」と呼ばれている。
シーディングによってまかれる種は、散布する先の雲が冷たい雨雲か、暖かい雨雲かによって、異なってくる。
冷たい雨雲の場合、種としてまかれるのはヨウ化銀やドライアイスである。ヨウ化銀は、氷の結晶とよく似た形と性質を持っていることから、そのまま種となって雨粒に成長する。対してドライアイスは、雲粒の温度を下げることで種となる氷晶をつくり、雨粒の成長を促す。
一方、暖かい雨雲の場合、塩のように吸湿性の高い粒子を種として散布。種のまわりに雲粒を集めることで、より大きな雨粒をつくることを促進させる。
こうした技術を逆利用したのが、2008年に開催された北京オリンピックだ。当初の天気予報では、開会式の時間帯は雷雨となっていたことから、開会式の数時間前に、北京市の周辺で先に雨を降らせてしまう「人工消雨」作戦を実施。その結果、開会式の時間帯の北京市内を、見事、晴れさせることに成功している。
著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
配信: レタスクラブ
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