「直感」は脳が出した最適解…最先端研究でわかった「本当にやりたいこと」の見つけ方|武器になる教養30min.編集部

「直感」は脳が出した最適解…最先端研究でわかった「本当にやりたいこと」の見つけ方|武器になる教養30min.編集部

「直感が選んだことは、きっと心からやりたいことなんです」。新刊『アイドリング脳 ひらめきの謎を解き明かす』を上梓した、富山大学卓越教授の井ノ口馨さんは、直感を信じることの大切さを説きます。分子脳科学の最先端研究から導き出された、一度きりの人生で「自分が本当にやりたいこと」を見つけるコツとは? 井ノ口さんに教えていただきました。

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直感が選んだことは「心からやりたいこと」

──本書で先生は、「直感は脳が出した最適解なので、信じてもいいのではないか」と提案していますね。

実は「アイドリング脳」のアイデアを思いついたのも、まさしく直感だったんです。海外出張に行く飛行機の中で、ぼんやりと窓の外を見ていたら、天啓のようにやって来た。雷が頭の中にバーンと落ちてきたような感じでした。

これはすごい研究ができそうだと思って、出張先のホテルでプランを練りました。「アイドリング脳」の大まかな計画はそのときできたんです。

もちろん、何も考えていないわけではありません。研究室ではいつもうなるように考えていて、でも解決策がないという日々を過ごしている。その積み重ねがあるからこそ、リラックスしたときに直感としてやって来るのだと思います。

 

──直感だからといって軽んじてはいけませんね。

多くの場合、直感のほうが正しいですね。学生にいつも言っているんです。進路で迷ったときは、最初は論理的に考えなさい。でも、考えても答えが見つからないときは、直感で選びなさいと。

論理的に考えたらAという道を選んだほうがいいけれど、なんだか心がモヤモヤするときってありますよね。そういうときは、直感が「Aじゃないほうがいいよ」と言っているんです。だから、Bを選んだほうがいい。

 

論理的に考えたことって、頭だけで考えたことですよね。でも、それでは心は納得していない。だから、なんとなくモヤモヤする。一方、直感が選んだことは、きっと心からやりたいことなんです。だからBを選んで、もし将来失敗したとしても、後悔はしないと思います。

「何が一番重要なのか」を明確にする

──最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。

勝海舟が『氷川清話』という本の中でこんなことを言っています。「人には余裕というものがなくては、とても大事はできないよ」。余裕がないと、大きなことはできないという意味です。

余裕と言ってもいろいろありますが、やはり大事なのは時間的な余裕と、精神的な余裕だと思います。われわれ現代人は仕事が忙しすぎて、やることが多すぎます。あとは、スマートフォンですね。みんな見ていますよね。

 

──スマホを見るのはリラックスにはなりませんか?

ならないですね。スマホの内容に意識が行ってしまっていますから、学習しているときと同じなんです。何かに注意を向けて、フォーカスしている状態。スマホを見てリラックスしているつもりでも、脳は一生懸命、学習しているときと変わらないんです。

だから私は、夜寝るときは30分くらい前から、スマホを別の部屋に置いておくことにしています。寝室にスマホがあると、どうしても寝る前とか、夜中ふと目が覚めたときに見てしまいますから。意志の力でスマホを見ないようにするのは難しいので、物理的にシャットアウトする工夫が必要だと思います。

 

最後にもうひとつ、みなさんへアドバイスがあります。仕事でも、自分が今取り組んでいることでもなんでもいいのですが、「何が一番重要なのか」を明確にすることがとても大事だと思うんです。

 

たとえば、みなさんは仕事をどんな順番でやりますか。多くの人は緊急度の高いものからやりますよね。締め切りが今日までとか、急ぎのものからやっていく。でも、ものごとには緊急度の高いものの他に、自分にとって重要度の高いものという尺度があります。

自分にとって重要度の高いものは、たいてい長いスパンでやっていくものです。だから、締め切りがないので、いつまでたってもなかなか取り組まないんです。

緊急度と重要度、両方とも高いものは、誰でも真っ先にやると思います。問題はその次で、多くの人は重要ではないけれど緊急なものをやるんです。そうではなくて、緊急ではないけれど重要なものをやったほうがいい。

 

──自分にとって重要度の高いものとは、具体的にどんなものでしょうか。

自分は人生で何をやりたいのか、どういう人生を送りたいのか、そういった長いスパンのことですね。好きなことをやるのが、やはり大前提だと思います。

「継続は力なり」とよく言いますが、私は「継続こそ力なり」と言っています。つまり、どんなことでも続けていれば必ずものになるということです。

成功しない人の多くは、成功する前にやめるから成功しないんです。ものごとを継続するうえではつらいことも多いですし、なかなか達成できないと思ってあきらめたくなることもあるでしょう。でも、やっていることが心から好きなことであれば、つらいことも苦になりません。乗り越えていけるんです。

 

だから、自分は人生で本当に何をやりたいのか、そこまでではなくても、数年のスパンで自分はこの仕事で何をやりたいのか、それを明確にして取り組むといいと思います。

ものごとには、重要なものと重要でないものがあります。もちろん、その人の価値観によって違いますから、自分なりの重要性の軸をつくって、自分が重要だと思うことは緊急度が低くてもその日の最初にやる。あるいは、毎週月曜日にやる。毎月1日にやる。そんなふうに習慣づけるといいのではないでしょうか。

 

※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【後編】井ノ口馨と語る「『アイドリング脳 ひらめきの謎を解き明かす』から学ぶ●●●●」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。

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