尿が泡立つとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
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※この記事はMedical DOCにて『「尿が泡立つ」のは「腎臓病」や「糖尿病」が原因?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。
「尿が泡立つ」症状で考えられる病気と対処法
尿の泡立つ経験をしたことがある方も少なくないでしょう。
尿が泡立つ原因には尿の成分が関係していることがありますが、ほとんどの場合過剰な心配は無用です。
一方で、毎日繰り返し尿の泡立ちが気になる場合は、腎臓や尿路の病気の兆候である可能性があります。今回はどのような場合に病院を受診するべきなのか、解説していきます。
尿が泡立つ症状で考えられる原因と対処法
尿は勢いが強いと泡が立ちます。もちろんこれは正常であり病気ではありません。
しかし、泡が長時間消えない場合は原因を考えてみましょう。
尿が泡立つ一番頻度が高い原因は「脱水」です。脱水状態になると水分を体に保持するため、尿の濃度が濃くなります。尿の中には胆汁が代謝されて作られるウロビリノーゲンが含まれており、ウロビリノーゲンの濃度が濃くなると界面活性作用により尿がよく泡立つようになります。汗をたくさんかいた時、気温が高い時、空気が乾燥している時、水を飲んでいない時に尿が泡立つ場合、脱水により尿が濃くなっている可能性を考え水分を積極的に取るようにしましょう。
脱水以外の原因で尿の泡立ちが目立つ場合は、尿の中にタンパク質や糖分が含まれている可能性を考えなければなりません。
具体的には、膀胱炎や尿道炎、前立腺炎などの尿路感染症や、腎臓の病気、糖尿病などが考えられます。また、女性の場合は生理中にも血液中のタンパク質により尿が泡立つのを自覚される方もいらっしゃいます。
何日も尿の泡立ちが目立っている方は、泌尿器科や腎臓内科を受診し検査してもらうことをお勧めします。
朝、尿が泡立つ症状で考えられる原因と対処法
朝の尿の泡立ちの原因は脱水症が最も考えられます。
睡眠中は水分が補給されず、呼吸や汗で水分が排出されるのみとなるので、脱水症状になりやすいです。朝起きたら喉や口の中が強く乾いていることを自覚される方も多いと思います。また、脱水症で尿が濃縮されると褐色の濃縮尿になります。その場合は速やかな水分補給が推奨されます。
一方で、朝起きて体を動かす前の早朝尿は尿に含まれるタンパクを評価することに最も適しています。喉が渇いた自覚がなく、濃縮尿でもないのにも関わらず、連日朝の尿で泡立ちを自覚する場合は尿に蛋白質が含まれている可能性があります。腎臓内科で相談するのが良いでしょう。
冬に尿が泡立つ症状で考えられる原因と対処法
冬場の尿の泡立ちも同様に水分欠乏が原因であることが多いです。
空気が乾燥するため、意外と水分が欠乏しやすいのです。
冬場でも喉が渇く、口が渇く時には積極的な水分を心がけましょう。
女性で尿が泡立つ症状で考えられる主な原因と対処法
女性の場合、尿の泡立ちは膀胱炎などの尿路感染症の可能性も考えます。
女性は男性と比較して尿道が短いために、尿路感染症を起こす頻度が一般的に高いことが知られています。
膀胱に尿を長時間貯めることや、妊娠、性交渉なども感染の原因となります。
症状としては尿の泡立ちの他に、排尿時痛、頻尿、残尿感、下腹部不快感、尿混濁などを伴います。対処法としては水分摂取による利尿促進が有効であり、膀胱に長時間尿を貯めておかないようにすることが重要です。発熱などの症状を伴う場合は尿道を伝って腎臓まで感染が拡大した腎盂腎炎である可能性があり、さらに重症化しない為にも速やかな治療介入が必要になります。
医療機関、主に泌尿器科や内科を受診しましょう。飲み薬や点滴の抗生物質を使います。
生理中に尿が泡立つ症状で考えられる原因と対処法
生理中にも尿が泡立つことがあります。
尿に血液が混ざる事が原因です。血液はタンパク質を含みます。
生理が終われば尿の泡立ちは無くなるはずなので、この場合は特に心配する必要はなく、医療機関受診の必要はありません。
妊娠中に尿が泡立つ症状で考えられる原因と対処法
妊娠中の尿の泡立ちには複数の原因が考えられます。
まずは膀胱炎などの尿路感染症です。前述のように妊娠は膀胱炎のリスク因子であり、特に排尿時痛や頻尿、残尿感などの症状を自覚する際には注意が必要です。
また、妊娠糖尿病は尿糖を、妊娠高血圧症候群では尿蛋白を伴う場合があり、時に緊急性が高い状況も存在します。検診時に相談するのも良いですが、症状が明らかな場合はかかりつけの産科で早めに相談しましょう。妊娠中は使える使用薬剤が限られる上に治療が難渋することも少なくないため、産婦人科専門医のもとで治療し安全な妊娠を継続することを第一に優先しましょう。
すぐに病院へ行くべき「尿が泡立つ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
むくみを伴う症状の場合は、腎臓内科へ
最も注意すべきは尿の泡立ちと同時に足のむくみが出てきた、酷くなった場合です。
ネフローゼ症候群や腎炎の可能性も考えられますので、腎臓内科への受診をお勧めします。
可能であれば、受診時には過去の検診や病院受診での血液検査、尿検査の結果を持参しましょう。
また、普段飲んでいる薬がわかるようにお薬手帳も持参しましょう。
受診・予防の目安となる「尿が泡立つ」ときのセルフチェック法
・尿が泡立つ以外に足がむくむ症状がある場合
・尿が泡立つ以外に尿の色が赤い症状がある場合
・尿が泡立つ以外に発熱や尿の混濁がある場合
配信: Medical DOC