ルフィ・狛江事件の実行役が「虐待されて育った」生い立ち明かす…闇バイト前は月5万円の収入、検察側は無期懲役を求刑

ルフィ・狛江事件の実行役が「虐待されて育った」生い立ち明かす…闇バイト前は月5万円の収入、検察側は無期懲役を求刑

●「中国人を使ってさらう」などと脅されていた

闇バイトたちが解散したあと、広島事件で一人が意識不明の重体というニュースを見た加藤被告人は、現場リーダーの永田被告人に「ヤバイことになった」とメッセージを送っている。

車内で強奪品の中抜きを知っていたために、二人の関係は親密になっていた。加藤被告人がこの事件で得た報酬は60万円。しかし、怖くなったために、次の千葉県での強盗事件の誘いはスルーして参加していない。

ただ「やめたいとは言えなかった」という。

千葉事件のあと「キム」から「人数が足りない。行ってくれるか?」という狛江事件の誘いがきた。加藤被告人がしぶっていると、「足りない場合、(加藤被告人や家族を)中国人を使ってさらう」などと脅されたという。

そして「水曜日ババア案件」というグループトークが作られた。断れなかった加藤被告人は「地下の通路の段取りはできましたか?」「本当に現金があるんですか?」「カメラはつけるんですか?」などのメッセージを送った。

このことについて、加藤被告人は「このときは、共犯者の一人と一緒にいて、二人で話したことを確認するために送信しただけだ」と述べている。

●被害者を地下に運ぶ役割を果たしていた

狛江事件前日、永田被告人とホテルに泊まり、当日は一緒に共犯者二人が待つ集合場所に行った。

加藤被告人は、結束バンドを手首に巻く事前準備について、共犯者たちにレクチャー。侵入の段取りは、現場リーダーの永田被告人が説明した。

その後、狛江市の住宅で、他の二人が玄関で女性を制圧すると、加藤被告人が住居に入り、金品を物色。途中で女性を制圧する役割をした。

このとき「お金があるのはわかっている。どこや」と聞き、その後、女性を蹴ったりした。女性は「なんでこんなことするの?」と言ったという。

そして、女性を二人で地下に運んだ。その際、加藤被告人は足首を持っていた。被害者弁護人から「重かったのか?」と聞かれて、加藤被告人は「軽かった」と答えた。

実は、公判前まで、加藤被告には「(狛江事件の)被害者には触っていない」と供述していたが、証言を変更したのだ。その理由についてこう述べた。

「自分は、被害者をバールで殴ったわけではないので、他の共犯者と一緒にされなくなかったから。弁護人にも言えなかったのは、ウソをついていた手前、言えずにいた。正直に話すことが、被害者への償いの一歩になると思った」

地下には、持ち込んだバールがあった。このあと共犯者が被害者をバールで殴るのだが、加藤被告人はそこまでは見ていないという。いったん撤収をするが、永田被告人は「再突入」を考えた。

しかし、加藤被告人が共犯者とともに「通行人がいる」などとウソを言ったために、中止となった。逃走中、被害者が死亡したニュースを知った。「僕が知らないところでこんなことになってしまった」と思ったという。

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