「血圧の正常値」についてよくある質問
ここまで血圧の正常値について紹介しました。ここでは「血圧の正常値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
一般的な女性の血圧の正常値はどれくらいでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
医療機関で測る診療室血圧で120/80mmHg以下、家庭血圧は115/75mmHg以下が正常値です。特に男性、女性で区別はありません。
病気や死亡のリスクのある血圧の値はどれくらいでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
血圧が130/80mmHg未満では脳心血管病による死亡リスクが低いことが分かり、これが75歳未満の成人での降圧目標です。これより高い血圧では脳心血管病の死亡リスクが増加すると報告されており、この降圧目標を達成できるように治療します。
75歳以上の高齢者や、脳血管障害患者、尿蛋白陰性の腎臓病患者では、140/90mmHgが降圧目標です。
理想的な血圧の値について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
診察室血圧130g/80mmHg未満が理想です。この範囲なら心血管リスクを低減し、健康寿命を伸ばします。
血圧は最高血圧と最低血圧どちらの正常値に注意すべきですか?
伊藤 陽子(医師)
どちらも注意すべき数値です。しかし、両方とも正常値まで下がらないことも多いです。この場合、収縮期血圧130mmHg以下を優先して血圧の治療を行います。
これは、冠動脈疾患に対する研究で、収縮期血圧130mmHg未満の降圧を達成している場合、拡張期血圧が80mmHg未満を達成した群は達成しない群と比較し、全死亡、心血管死亡、心筋梗塞、狭心症、脳卒中のリスクは同等であったとの報告もあるためです。
血圧の正常値と平均値は同じ数値ですか?
伊藤 陽子(医師)
正常値と平均値は異なります。正常値はガイドラインで一律に定められた数値ですが、平均値はある集団の血圧を測り、統計した結果です。たとえば高齢者の血圧平均値は、若い人の平均値より高くなります。
高血圧の診断基準となる値は以前と変わったのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
診断基準に変更はありません。
ただ、一部の全国健康保険協会(協会けんぽ)で、令和6年4月より「未治療の方の、医療機関の受診勧奨基準は160/100mmHg以上」という通達を出したことが誤解を生んだと考えられます。
140/90mmHg以上の方で生活習慣を改善しても下がらない場合は、医療機関を受診して下さい。
まとめ 血圧の正常値は120/80mmHg未満!
血圧は高齢になるほど上がる傾向があります。高血圧を放置すると血管のしなやかさを失い、硬化すると血圧が上がりやすくなります。
高血圧対策に、ぜひ減塩を始めましょう。
QOLを下げる低血圧は食生活や睡眠など、日常生活の改善が効果的です。治療と併せ、できることから実践していきましょう。
「血圧」の異常で考えられる病気
「血圧」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経系の病気脳梗塞くも膜下出血
循環器系の病気動脈硬化心筋梗塞狭心症不整脈
内科系の病気糖尿病
甲状腺疾患(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症)
高血圧は加齢で発生しやすいため、日常生活の改善が欠かせません。低血圧は糖尿病など疾患が隠れていることがあります。
参考文献
日本高血圧学会ガイドライン(2019)
[一般社団法人日本健康倶楽部]健康診断結果の診方「血圧」
[厚生労働省]令和元年国民健康・栄養調査報告
配信: Medical DOC
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