「アラサーの妻がオンラインゲームで知り合った男子高校生と恋愛しているようです」。そんな相談が弁護士ドットコムニュースに寄せられています。
相談者によると、妻はオンラインゲームにはまり、男子高校生と毎日、ゲームのボイスチャットで話したり、SNS、LINEでも好意を伝え合っているそうです。「一緒に住もう」といった約束もしているとのことでした。男子高校生は、妻が既婚者で子どももいると知っているそうです。
相談者は、実際に2人が会って不倫していた場合、男子高校生の保護者に対して、慰謝料請求はできるか、知りたいといいます。
一方で相談者は、男子高校生はまだ17歳とのことで、相談者は逆に妻が青少年保護育成条例違反に問われてしまうのではないか、という心配もしているそうです。
どうすればこの問題を解決できるのでしょうか。男女問題に詳しい︎古関俊祐弁護士に聞きました。
●不貞行為があれば妻が青少年保護育成条例違反に
——相談者が男子高校生やその保護者に対し、慰謝料請求をすることは可能なのでしょうか。
不倫相手が未成年者であったとしても、法的な責任は未成年者本人が負うことになります。そのため、未成年者が小学生など保護者に責任が認められる場合であるとか、保護者が不貞関係そのものを知っていたのに止めなかったというような特殊なケースでない限り、未成年者本人を飛び越えて保護者に慰謝料請求をするということはできません。
——妻と男子高校生との不貞関係で、妻が法的な責任を問われる可能性はありますか。
18歳未満の青少年との性交渉や性交類似行為は、青少年保護育成条例違反として刑事罰が科されます。これは成人女性と未成年男子との関係であっても変わりません。
お互いに好意があるとか一緒に暮らす約束をしていたという反論程度ではこの条例違反は免れないため、実際に会って性交渉を伴う不貞関係になっている場合は刑事罰が科されると考えましょう。
一方で、オンライン上でやり取りをしているだけであれば、刑事罰が科されたり、不貞関係として慰謝料を負担するということにはならないと思います。もっとも、やり取りがエスカレートして実際に会う関係になる可能性もありますので、やり取りに問題がないというべきではないでしょう。
●妻と男子高校生を止めるためには?
——最初はオンラインのみの恋愛だったとしても、今後、男女関係に発展する可能性もあるかと思います。2人を止めるために相談者ができることはありますか。
きっぱりゲームをやめてもらうのが確実な方法ですが、奥さまののめりこみ具合や旦那さんのゲームへの理解によっては夫婦げんかに発展してしまうこともあると思います。
特にSNSや通話アプリなどコミュニケーションツールが発達した昨今では、ネット上で知り合った人と実際に会うハードルは一昔前より格段に下がっている印象を受けます。
大切なのは、実際に会った人と不貞関係に陥ると慰謝料などの民事上の責任や相手の年齢によっては刑事上の責任が生じるリスクがあることを良く知ってもらい、既婚者である以上はネット上で知り合った人と会わないようにするとか、同性としか会わないようにするといったゲームをする上での約束ごとを夫婦間で話し合うことではないかと思います。
【取材協力弁護士】
古関 俊祐(こせき・しゅんすけ)弁護士
江戸川区出身。2009年3月、中央大学法学部卒業。2011年3月、明治大学法科大学院修了。 同年9月、司法試験合格。2012年12月、弁護士登録(東京弁護士会所属)。2017年、新小岩法律事務所開設。
事務所名:弁護士法人HAL新小岩法律事務所
事務所URL:https://hallaw.jp/
配信: 弁護士ドットコム