食事や運動など、日々の生活習慣から血圧を下げる方法をMedical DOC監修医が解説します。健康のために知っておきたい高血圧による病気のリスクも。
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※この記事はMedical DOCにて『「血圧を下げる」食べ物はご存知ですか?即効性のある血圧を下げる方法も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
血圧を下げる方法は?
日本高血圧学会が定めている高血圧診断基準によると、診察室血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧が135/85mmHg以上の場合は高血圧と診断されます。血圧を下げるためには、まず生活習慣や食生活の見直しを行うことが大切です。
血圧を下げるために生活習慣で気を付けることとは
運動には、血圧を下げる効果があります。運動療法を行うことで、収縮期血圧(上の血圧)を2~5mmHg、拡張期血圧(下の血圧)を1~4mmHg下げる効果が期待できると言われているのです。運動による降圧効果は、運動後から約22時間持続します。時間が経つと降圧効果がなくなるため、定期的に運動を行うことが大切です。1回あたり10分以上の運動を1日合計40分以上行うことが推奨されています。
喫煙している方は、禁煙を行いましょう。紙巻きタバコを1本吸うと、血圧上昇が15分以上持続して起こります。また、2万8,000人以上の高血圧を有さない女性を対象に行った研究では、喫煙している方はそうでない方と比べて高血圧を発症しやすいことが分かりました。
飲酒も高血圧を招く要因です。男性は1日あたりエタノールで20~30ml(ビール中瓶1本)以下、女性は1日あたり10~20ml以下に摂取量を制限することが推奨されています。
血圧を下げる食べ物・飲み物
血圧を下げるためには、食べ物や飲み物にも気を使いましょう。
まず気をつけたいのが、ナトリウムの摂取量です。ナトリウムを過剰に摂取すると、血圧が上がりやすくなります。麺類の汁を残し、低ナトリウムの調味料を使ったり、外食や加工食品を控えることでナトリウムの摂取量を抑えるようにしてください。
食物繊維を意識して摂るのもよいでしょう。食物繊維には、ナトリウムを吸着して排出する働きがあります。きのこ類や大豆、グリーンピースなどは食物繊維を豊富に含んでいます。
カリウムは、積極的に摂りたいミネラルの一つです。カリウムにはナトリウムの排泄を促進する効果があることから、高血圧の対策に効果があります。厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりのカリウム摂取量の目安は2,500mgとされているため、こちらを参考に摂取していくとよいでしょう。カリウムはひじきやわかめ、切り干し大根などに多く含まれています。
カロリーを摂りすぎないようにすることも大切です。消費カロリーよりも摂取カロリーが多い状態が続くと肥満になり、血圧を上げる働きがあるレプチンというホルモンの分泌量が増えてしまいます。
※日本人の食事摂取基準(2020年版)
血圧を下げる薬(降圧薬・高血圧の薬)
食事療法や運動療法を行っても血圧がコントロールできない場合、また血圧の状態やリスクなどを見て治療が必要と判断された場合は降圧薬を使用します。
降圧薬にはいくつか種類がありますが、現時点ではカルシウム拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬が第一選択薬です。一つの降圧薬で様子を見ることもあれば、複数の薬を併用して血圧をコントロールしていくこともあります。血圧は心拍出量と末梢血管抵抗によって決まるため、心拍出量または末梢血管抵抗を減らすことが治療の基本です。カルシウム拮抗薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬は血管を広げて末梢血管抵抗を改善し、利尿薬は血液中に含まれる水分量を減らして心拍出量を低下させます。
「血圧を下げる」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血圧を下げる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
血圧が高いと体にどのような健康リスクがありますか?
伊藤 陽子(医師)
血管の弾力性が低下し、動脈硬化を起こしやすくなります。動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす原因となります。
即効性のある血圧を下げる方法はありますか?
伊藤 陽子(医師)
血圧が高いと感じた場合は、リラックスして体を休ませる方法がもっとも即効性があると言えます。高血圧の状態が持続している場合は、医師の指示に従って食事療法や運動療法、薬物療法など治療方法を行います。
血圧を下げるツボはありますか?
伊藤 陽子(医師)
手の甲側の親指と人差し指の間にある合谷と呼ばれるツボは、血圧を下げる効果があると言われています。特に副作用が起きることはありませんが、ツボを押すだけで高血圧を改善することはできません。血圧が高い場合は内科や循環器科を受診しましょう。
運動をすることで血圧を下げることができますか?
伊藤 陽子(医師)
運動には、血圧を下げる効果があります。1回10分以上の運動を1日合計40分以上行うことが推奨されています。
コーヒーを飲むことで血圧を下げる効果がありますか?
伊藤 陽子(医師)
コーヒーに含まれているカフェインの働きにより、血管が収縮して血圧が上がる可能性があります。
血圧を下げるのに効果があるサプリはありますか?
伊藤 陽子(医師)
GABAやペプチド関連物質が含まれたサプリメントが血圧対策用のサプリメントとして販売されています。しかし、サプリメントは薬ではありません。高血圧の治療に使える市販薬も漢方薬だけに限られています。血圧が気になる場合は、自己判断でサプリメントを使用するのではなく、医療機関を受診して相談しましょう。
また、漢方薬の副作用として血圧が上昇することもあります。自己判断で市販薬やサプリメントで経過を見ずに、一度病院を受診しましょう。
高血圧が続いたら何科の病院で相談すべきですか?
伊藤 陽子(医師)
高血圧は、内科や循環器科で治療を受けられます。
配信: Medical DOC