教え子に性的暴行、元中学校長に懲役9年判決 「時効の壁」を崩した“証拠動画”と被害者たちの怒り

教え子に性的暴行、元中学校長に懲役9年判決 「時効の壁」を崩した“証拠動画”と被害者たちの怒り

●「見返すため」に保存していた動画

判決では、動画が残っていたことで、犯罪の一部始終が明らかとなった。

被告人は公判で、なぜAさんやBさんの動画を保存しておいたのか問われ、「後で見返すためでした」と語っている。

実は、Bさんは卒業時に被告人に撮影された動画を削除してほしいと、被告人に頼んだことがあった。ところが、被告人は「わかった」と答えたものの、削除しないまま逮捕時まで所持し続けていた。

被告人は、教師と生徒という圧倒的な力関係からAさんが嫌だと思っていても、拒否できなかったことに気づかず、「恋人になったような気分でいた」と弁明していた。被告人にとって動画はAさんとの「良い思い出」のつもりだったのかもしれないが、法廷ではその罪の証拠となった。

公判中、弁護側は準強姦致傷罪の免訴とともに、被告人に妻や幼い子どもがいることや、2度と教育の仕事には携わらないことを理由に、執行猶予を求めていた。

しかし、被告人は公判中、何度も「お詫びのしようがない」「生きて罪を償いたい」などと謝罪している。であれば、なぜ準強姦致傷罪を免れようとしたのか。本当に罪を償う気持ちがあったのか、最後まで疑問が残った。

AさんやBさんはすでに20代になっているが、今でも被告人にされたことを許すことないと語っていた。子どもにとって安全な場所である学校で、子どもを守るべき立場の教師が、逆らえない子どもたちにおこなった卑劣な犯罪。被告人はその罪の重さを知り、2度と同様の事件が起きないよう、社会全体で再発防止に取り組む必要がある。

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