●父親の責任は?
まずはこの父親について。
仮に父親が、女児を第三者に触らせていた場合には、女児は16歳未満であるため、女児の同意の有無にかかわらず、不同意わいせつ罪(刑法176条3項、6カ月以上10年以下の懲役)が成立します。
また、女児を第三者に触らせていなくても、事前に掲示板で通知する等して、女児をことさら浴場で公衆の面前にさらした場合には、公然わいせつ罪(刑法174条の間接正犯ないし共同正犯、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金等)も成立すると思われます。
さらに、このように女児をことさら公衆の面前にさらす行為は、女児をして「卑わいな言動」をさせているともいえるため、各都道府県の迷惑防止条例にも違反すると思われます。(東京都の場合は5条1項3号、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金)
このほか、女児をさらす目的で銭湯に立ち入る行為に、建造物侵入罪(刑法130条前段、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)が成立する可能性があります。
なお、父親が娘の年齢を偽って男湯に立ち入らせた場合、そのことが浴場管理者の意思に反しているという意味で建造物侵入罪が成立する可能性や、場合によっては詐欺罪(刑法246条2項、10年以下の懲役)にあたる可能性があります(最高裁決定平成26年3月28日参照)。
●銭湯に集まった人の責任は?
実際に女児に触ってしまった人には、不同意わいせつ罪(刑法176条3項、6カ月以上10年以下の懲役)が成立します。
ただ女児の裸を見ているだけだと、不同意わいせつ罪は成立しません。しかし、浴場内で女児の裸をまじまじと見る行為は、各都道府県の定める迷惑防止条例(卑わいな言動)に違反する可能性があります(東京都の場合は5条1項3号。6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金)。
なお、掲示板の書き込みを見て、女児を見る目的で銭湯に立ち入った場合には、建造物侵入罪(刑法130条前段、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)が成立する可能性があります。
配信: 弁護士ドットコム