老子によるフッと心が軽くなる言葉をお届け。老子とは? 改めて端的にご説明いたします。
ろうし〔ラウシ〕【老子】
読み方:ろうし
[一]中国、春秋戦国時代の楚の思想家。姓は李、名は耳(じ)。字(あざな)は伯陽。諡号(しごう)は耼(たん)。儒教の人為的な道徳・学問を否定し、無為自然の道を説いた。現存の「老子」の著者といわれ、周の衰微をみて西方へ去ったとされるが、疑問も多い。後世、道教で尊崇され、太上老君として神格化された。生没年未詳。老耼。(引用:『デジタル大辞泉』小学館)
要するに中国の思想家であり、なんと学問を否定したのでした。しかしもちろん、勉強しないでラクしようね、というものではありません。否定したのは「もっともっと」となって自我を見失うこと。その例として学問をあげました。老子は、人間の本質こそ自然に素朴に生きること、と説きました。そのために否定したのが欲であり、老子の「無知無欲」という考え方に繋がっています。欲によって、つい人と比べてしまったり、大きく見せようとしてしまったり。デジタル社会の現代ではもちろん、過去をみてもその欲求は常に人につきまとい、ときには争いの種にさえなってきたもの。そこからどう脱却しラクに生きることができるのか、老子の言葉とともにご紹介していきます。
この記事は『心がフッと軽くなる 老子の言葉 (TJMOOK)』¥891から一部抜粋し、再編集したものです。老子の考えを易しく、そしてときにはクスりと笑える内容になっています。
『心がフッと軽くなる 老子の言葉 (TJMOOK)』¥891
老子が説いた「無知無欲」って??
理想と現実のギャップを埋める最善の考え方が「無知無欲」。老子の代表的なこの思想は、はるか年月が経った現代にも通じる考え方です。この無欲とは「人としての根源に還り、あるがままの心で生きること」であり、老子の思想の根本ともいえるものです。規制や同調圧力などで抑圧された現代、淡々と生きることを説いた老子の言葉は、ガチガチに固まった現代人の心にも、すっと届いてきます。
その❶ 学べば学ぶほど不安は増えていく
老子は「学ぶこと」とは、「美しいもの」と「醜いもの」とを区別できるようになることだとした上で、そのような学びはやめてしまおうといいます。ここでいう美醜とは善悪のことですが、「善悪を判断するための学び」だけではなく、知識をつけること全般を指しています。様々な知識を得ることや、何かを学ぶことによって、世界の根源や本質から遠ざかってしまうと、老子は考えました。知らなければ不安になることはなかったのに、学びによって得た知識から、不安が生まれることもある、と警告しています。
配信: オトナミューズウェブ