部屋の状態とメンタルの不思議な相関関係を読み解き、「重い腰が上がる、魔法のフレーズ」を詰め込んだ、おむらちもさんの『不思議なくらい部屋が片づく魔法の言葉』。「これまでの片づけ本とは全然違う!」と話題を呼んでいます。
「言葉にすると人生が動き出す」をテーマに、言葉の重要性を説いた『言語化の魔力』。その著者であり精神科医の樺沢紫苑さんからいただいた、書評をご紹介します。
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「片づけ」の本。だいたい出尽くした感があります。
どの本を見ても、似たような「ノウハウ」「方法」が載っています。
と思いながら、『不思議なくらい部屋が片づく魔法の言葉』を開くと、「何と、こんな手があったのか!」と、ハッとさせられます。
「片づけ」×「言葉」という意外な組み合わせ。自分自身を励ます、アファメーション風の言葉に、片づけのノウハウが集約されてます。
さらに、その言葉を呟くことで、思わず片づけをしたくなる、という仕組み。
私も、片づけは苦手ですが、片づけを始めるときに、「よし、片づけを始めるぞ!」と、自分に言い聞かせます。
あるいは、「何年も使ったもの」を捨てるのは、躊躇するもの。そんな時は、「どうもありがとうございました」と感謝の言葉を述べながらだと、捨てることができるのです。
言葉を使うと、行動が促進される!!
拙著『言語化の魔力』のテーマでもあります。
片づけにおいても、言葉を上手に使うことによって、「片づけがうまくいく」ことは、間違いありません!
単なる「片づけノウハウ」を書いた本が多い中、本書では、ノウハウではなく、「片づけられない原因」を心理レベルまで掘り下げて、その理由を明らかにしていきます。
「片づけられない心理」をここまで深掘りしている本は、なかなかないでしょう。
少なくとも、私は読んだことがありません。
本書に隠されたテーマは、実は「片づけ」ではなく、片づけを通して
♯完璧主義を手放す
♯0/100思考を手放す
ということだと思います。
冒頭の32ページに「完璧主義の人の部屋ほど、散らかっている不思議」という項目があります。
「片づけ」をはじめると完璧にやらないと気がすまないので、スタートできない。あるいは、それが完璧にできない自分を責めてしまうので、「片づけ」をはじめられない……という指摘は、秀逸であり、本質をついています。
本書では、
♯片づけられなくても、私には価値があるもん
♯中途半端上等
♯私は素敵な部屋に住んで良い人!って許可するぞ!
などの言葉によって、「完璧じゃなくていい」「やれる範囲でいい」ということを、手を変え品を変えて語っています。
ですから、本書を、少しずつ実践しながら読み進めうちに、自らの「完璧主義」に気づきそれを癒やすことができる……という仕組み。
結果として、
自分自身を赦すことができる!
自分自身を励ますことができる!
自己肯定感を高めることができる!
自分自身を癒やすことができる!
と、「片づけ」以外の効用をたくさん得ることができるのです。
単なる片づけの本とは一味違う。
心理カウンセラーの書いた、「唯一無二の片づけ本」だと思います。
片づけができなかったと、今まで悩み続けてきた人に、「コレが、最後の1冊」として読んでいただきたいと思います。
(精神科医 樺沢紫苑氏)
ご興味を持たれた方は、ぜひ『不思議なくらい部屋が片づく魔法の言葉』をお読みください。
配信: 幻冬舎Plus