前回、お米をきれいによそうことが、神様への正しいの姿勢だということを説明しました。
…ですが、洗って炊くところから、です。実は「こうするだけ!」っていう簡単なことなので、今日からすぐやりたくなりますよ。
『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、どうぞ。
* * *
お米の洗い方、供え方、炊き方
まず基本形として、神社でお米を神様にお供えしたあと、それを下げてきて食べるときの手順についてお話ししますね。その次に、家庭での方法についてお伝えしようと思います。
私がおつとめしている神社でお米をお供えするときは、いったん洗って竹ざるにあげます。これを「洗い米」と呼びます。
(イラスト:宮下 和)
しっとりと潤った洗い米を、神饌用の大きな白いお皿に山形に盛ります。洗ったことで、表面の「ぬか」と水がまざりあい、それが「のり」の役割を果たして、きれいな山形をつくることができます。
洗い米を山形に盛ったそのお皿を、「三方(さんぼう)」という木製の台にのせて、ご神前にお供えします。三方は、正方形の折敷に脚がついた台のことで、脚の部分の3面に穴があいているので三方と呼ばれています。
(イラスト:宮下 和)
ご神前にお供えされた洗い米は、神事をしている40分ぐらいの間、風通しのよいご神前の、「神饌案(しんせんあん)」という台の上に置かれます。祝詞の奏上や、お神楽の奉納が終わると、「神様がお食べになった」と見なされ、お供えされた洗い米も、他の神饌と同様に下げられてきます。下げられてきた洗い米は、お供えしたときよりも、白くふっくらして、手ざわりはさらっとしています。神事のあいだに、洗い米が表面の水分を吸収し、余分な水分は蒸発したからなのですが、それはまるで、「神様がお食べになったから、ご神威が入ってふっくらした」かのように感じられます。
神前から下げられてきた洗い米は、同じ分量のきれいな水と一緒に鍋に入れ、すぐに炊きはじめます。すると、神事のあとの直会が佳境をむかえてちょうど白ごはんが欲しくなるころ、おいしいお米が炊き上がります。
(イラスト:宮下 和)
このいただき方を、お家で実践するときには、お米を洗ったあと、ざるにあげて、水気をすこし切り、ざるごとお皿にのせて、「神様どうぞ」と30分~50分置きます。それから、お米炊き用のお鍋で直火炊きをします。5合が15分程度で炊けます。
とてもかんたんですよね。洗ってからざるにあげて、「神様どうぞ」と、しばらく置くだけです。こんなにかんたんなのに、炊き上がりのおいしさが抜群に違います。神様が何かしたとしか思えない仕上がりに、びっくりすると思います。
料理家の土井善晴さんは、昔ながらの和食のおいしい食べ方、作り方を教えてくださっていますが、『おいしいもののまわり』という本にも、「洗い米のすすめ」として、炊き方を書かれています。
そこには、洗った米をいったんざるにあげ、夏場は30分、冬場は50分程度置いてから、すぐにきれいな水で炊くとおいしく炊ける、と書いてありました。ざるにあげておくことによって、米は必要な水分を吸い、余分な水分が除かれるのだそうです。
これは、神事で供するときの「洗い米」のあつかいと同じです。ですので、私はこの方法が「間違いない」と確信しました。
せっかくの新米だから、最高においしく炊きたいですよね。
そして、おいしく炊きあがったお米は、茶碗に神様映えするようによそい、「いただきます」して食べる。この美しい行動が、やがてその人のたたずまいにもにじみ出て、神様から好かれる姿を作り出すのだと思います。
配信: 幻冬舎Plus
関連記事: