低体温になっていませんか?冷えが体に及ぼす影響と対策について看護師の視点からお伝えします。

低体温になっていませんか?冷えが体に及ぼす影響と対策について看護師の視点からお伝えします。

寒さが厳しくなる時季。

体の冷えが気になるという方も多いのでは?

低体温になったり、体が冷えたりすることは、体へのさまざまな悪影響が考えられます。

今回は、MIDSクリニックの看護師、木村和美さまにお話を伺いました。

熱を測るときは「低体温」でないことも意識してみよう

「冷えは万病のもと」と昔からいわれますが、実際に冷えに悩む方は多く、特に寒い季節には深刻な問題となります。

コロナ禍では、毎日体温を測っていた方もおられると思いますが、発熱していないかの確認ではなく、低体温ではないかという事も気にかけてみてください。

平熱が35度台ということはないですか?

冷えは一時的な不快感だけでなく、全身の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。

ここでは、冷えの影響、対策、温活の工夫までをまとめました。

冷える人と冷えない人の違い

気温が下がってきても、冷えに悩む人と、冷えが気にならない人がいます。

冷えやすい人とそうでない人の違いは、主に代謝と血流にあります。

運動不足や筋肉量が少ないと、体内で熱を作る力が弱まります。

また、ストレスや不規則な生活も自律神経に影響を与え、交感神経が優位となり血管が収縮、血流が悪くなり体温が低下します。

女性は、男性に比べると筋肉量が少ないため熱を産生するのが苦手な上に、月経やホルモンバランスの関係で冷えやすいとされています。

冷えると起こる悪影響

冷えによる影響は、全身に広がります。

・冷えると血流が悪くなる

作りすぎたお肉の炒め物などを冷蔵庫で保管すると、脂が白く固まっているのを見たことがあると思います。

人間の血管の中を流れる血液にも脂質が含まれているため、冷えると血液がドロドロになってしまう可能性が考えられます。

さらに、冷える事で身体は深部の体温を保つために血管を収縮させ熱の放出を少なくしようしますので、血管が収縮し血液が流れる道も狭くなってしまうのです。

これにより、ますます血流が滞ります。

血流が滞ることで血管は詰まりやすくなり、動脈硬化を招くこともあります。

心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の疾患につながる恐れもあるのです。

また、肩こりや腰痛、頭痛などの不調や、肌荒れや肥満の要因になります。

・体内酵素の働きが低下する

体温が低下すると、体内の酵素の働きが低下します。

人間の身体には5000種類以上もの酵素が存在しているといわれ、体内のあらゆる生命活動に必要な化学反応で重要な役割を担っています。

酵素は、体内温度が37~38度の時に最も活発に活動するといわれています。

この体内温度37~38度は、普段測定する体温でいうと36.5~37度となります。

酵素には、老化の原因となる活性酸素を中和する働きや、ウイルスや紫外線などによって傷ついた遺伝子を修復する働きなどもあります。

・免疫力が低下する

免疫力は体温が1度下がると30%下がり、反対に1度上がると最大5倍~6倍も上がるといわれています。

免疫細胞の活動が活発になることで、白血球やリンパ球がより効果的に働き、ウイルスや細菌と戦う力が強まります。

また、免疫力は自律神経と深い関係があり、冷えて交感神経が優位な状態が続くなどして自律神経のバランスが崩れると、免疫システムがうまく働かなくなってしまうのです。

そのうえ冷えると酵素の働きも悪くなるため免疫力はさらに低下してしまいます。

身体を温めることで自律神経を整えるとともに、さまざまな酵素の働きがよくなることで免疫力の向上が期待できます。

またヒトの免疫をつかさどっているリンパ球の約7割は腸にあるといわれ、お腹を温めることで免疫細胞の数が増えるという報告もあります。

体を冷やさない工夫

日常生活でできる冷え対策には、体を温かく保つ工夫が大切です。

・入浴

体を温める方法として、入浴は最も手軽で効果的です。ぬるめのお湯(38〜40度)で20分程度の入浴が血行を促進し、体を芯から温めてくれます。

・食事

朝に一杯の温かい白湯を飲むのがおすすめです。

朝は1日の中で一番体温が低いので、お腹に入って温かいなと思う温度の白湯を一杯飲む習慣をつけるとよいでしょう。

アイスや冷たい飲み物は当然身体を冷やしますので、飲み物は常温に戻して飲むようにしましょう。

代表的な温活食材として、ショウガやニンニク、ニラや黒ゴマがありますが、身体を冷やす食材か温める食材かにあまりこだわらずに、季節の旬のものをバランスよく、しっかり咀嚼して食べることが大切です。

・服装

身体を温めるために重要なのは、血管と筋肉をいかに効率よく温めるかです。

血管を温めるためには体表に近い血管を温める必要があります。

首には総頸動脈、手首には橈骨動脈・尺骨動脈、足首には前脛骨動脈・後脛骨動脈という比較的太い動脈が体表近くを流れているので、首・手首・足首を温めるのは効果的です。

マフラーやストール、手袋や靴下で保温を心がけましょう。

また、筋肉を温めると、そこに流れる無数の毛細血管を温めることになるので、大きな筋肉を温めるのも有効です。

大きな筋肉は大殿筋をはじめ大腿四頭筋など下半身に多く存在しますので、特に下半身の筋肉を温めることが温活には効果的です。

腹巻やスパッツなどで下半身を冷やさないようにしましょう。

・運動

身体の熱の30%は筋肉で産生されているため、筋肉を刺激すると血流がよくなり身体が温まります。

背中の広背筋や太ももの大腿四頭筋、二の腕の上腕二頭筋や上腕三頭筋などの大きい筋肉を意識して動かして、効率よく身体を温めましょう。

身体の筋肉の70%は下半身についているので、1日10分のウォーキングからでも取り入れて下半身の筋肉を動かすことで身体を温めることができます。

特に女性は冷やさない方がいいって本当?

女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、冷えやすい傾向があります。

また、ホルモンバランスが冷えに影響しやすく、冷えを放置すると子宮や卵巣、臓器そのものが冷えて血流も悪くなり機能が低下する可能性があります。

生理不順や更年期障害が悪化する可能性も指摘されています。

子宮筋腫や子宮内膜症などの生殖器系の病気は骨盤内の血液が滞ることが原因ともいわれているため、女性の身体は特に冷やしてはいけないのです。

冷えに関して受診できる?何科に相談できる?

冷えが日常生活に支障をきたすほど深刻な場合は、医療機関への相談も選択肢です。

特に内科、婦人科、または漢方外来で冷え性対策の相談が可能です。

漢方薬による体質改善も検討してみると良いでしょう。

まとめ

冷え性は日々の工夫で改善できることも多いです。

先述した朝の温かい白湯をはじめ、冷たいものを口にしないなどでも温活になります。

毎日シャワーだけで済ませている人は湯船につかる習慣をつけると、身体を温める大きな効果が得られます。

他にはドライヤーを使用してお腹や足のツボを温めたり、カイロを下腹部に当てたり、湯たんぽを下腹部や太ももに当てたりなど、身体が温まり、心地よいと思える方法を実践してください。

腹巻やストールを日頃のファッションに取り入れるのもよいでしょう。

また、温泉やサウナ、岩盤浴、今話題のよもぎ蒸しなどで体の芯から温めるスペシャルケアを取り入れると、温活へのモチベーションアップにもつながるのではないでしょうか。

ぜひ、自分に合った冷え対策を取り入れて、健康的な毎日を送りましょう!

執筆者

木村 和美

看護師

1980年産まれ。専門学校卒業後OLとして製鉄会社に勤務。

友人の勧めで看護師専門学校に入学し国立系総合病院で13年勤務。育児に重きをおくため退職し、複数の病院やクリニックで勤務を経て2024年4月より日帰り手術の専門施設「大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック」に入職。プレ更年期を経験し、よもぎ蒸しを体験することで温活の大切さに気付き、MIDSクリニックで看護師として働きながら、東大阪によもぎ蒸し温活サロンARTEMIS(アルテミス)をオープン。日帰り全身麻酔を受ける患者様が安心して手術を受け安全に帰宅できるよう日々サポートをしながら、冷えや不眠、代謝不良に悩む女性の温活もサポートしている。

よもぎ蒸し温活サロンARTEMIS

https://yomogi-artemis.amebaownd.com/

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配信元

キレイ研究室
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「今よりもっと、これからもずっときれいでいるために。」をコンセプトに、化粧品開発、ヘルスケア、ネイリストなどさまざまなジャンルの専門家が、中立の立場から「キレイ」についてのコラムを発信しています。
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