重度自閉症の息子、言葉は発しないけれど、タブレットで書く長編の作品。学びたい気持ちに寄り添い続ける母【重度自閉症体験談】

重度自閉症の息子、言葉は発しないけれど、タブレットで書く長編の作品。学びたい気持ちに寄り添い続ける母【重度自閉症体験談】

一人一人の特性に寄り添った教育ができたら、力が伸びる子はきっといるはず

――博仁さんが感じているように、重度の自閉症の子どもが適切なサポートや教育を受けられる体制はまだ不十分だと、敦子さんも考えていますか。

敦子 療育や学校の先生は、可能な限り博仁の特性を尊重したサポートや教育をしてくださったと思います。でも、課題がいろいろあるとも感じています。
子どもの能力や特性は一人一人違います。「この子はこのIQだからこのレベルの教育をする」という枠組みを取り払い、一人一人の個性に寄り添った教育ができるようになったら、障害のある子どもたちの力をもっと伸ばすことができるんじゃないかなという気がします。

言葉を発することができない博仁は、キーボート入力による表現方法を手に入れることができました。自閉症児の文字入力によるコミュニケーションは、日本ではまだあまり知られていないそうです。
博仁のように、キーボード入力で世界が広がる子どもがきっといると思うんです。博仁は自分が作品を発表することで、そのことも多くの人に知ってもらいたいんじゃないかと思います。

――博仁さんは現在16歳。あと数年で成人となります。親として今後の希望や目標などはありますか。

敦子 日々の課題や目の前の目標をこなすのに必死で、成人になったときの博仁のことを考える余裕は正直ありません。めざす道に向かって努力している博仁を精いっぱいサポートしてあげたい。それが、息子のすばらしい未来につながることを信じています。

お話・お写真提供/内田敦子さん 取材・文/東裕美、たまひよONLINE編集部

自閉症は表情や行動で意思を伝えることが難しく、周囲から理解されないことがあります。博仁さんは自閉症の子どもが感じていることを多くの人に知ってもらいたいと願い、日々、表現力を高める練習をしています。その目標をかなえるために、母親の敦子さんは博仁さんに常に寄り添い、サポートを続けています。

「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年10月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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