大麻使用罪が施行、7年以下の懲役に 弁護士は「治療プログラムの拡充を」

大麻使用罪が施行、7年以下の懲役に 弁護士は「治療プログラムの拡充を」

大麻を使用すること自体を犯罪とする内容を盛り込んだ改正大麻取締法が12月12日に施行された。

大麻をめぐっては、これまで所持することや他人に譲り渡すことが禁止されてきたが、使用すること自体に罰則はなかった。

今回の法改正は、大麻由来の「医薬品」の使用を可能にする一方、大麻の乱用を抑止するための厳罰化を進めることが狙いとされている。

大麻使用罪が新たに設けられたことによって何が変わるのか。西口竜司弁護士に聞いた。

●不正使用には「7年以下の懲役」

ーー今回の法改正で何が変わった?

大麻とその有害成分である「THC」を「麻薬」と位置づけました。また、不正使用には、7年以下の懲役(拘禁刑)を科すことにしました。

他方で、大麻草から製造された医薬品の使用を免許制にしました。

ーー中高生が使用した場合、どんな処分になる?

近年、中高生が大麻所持で検挙される事例が増加しているそうですね。

厚生労働省の統計によれば、2023年、大麻の所持などで20歳未満が1246人検挙されていました。2014年(80人)に比べ、10年間で15・6倍に増加したことになりますから、大変驚きました。

そして中高生であっても、違法であることは成人と変わりがありません。中高生の場合は、少年事件として処理されることになります。

大麻使用罪で検挙される事件が増加することが予想され、捜査機関の負担も増加するので、どれだけ人員を整備できるかがポイントになってきます。

●「治療プログラムの充実も必要に」

ーー大麻使用罪の新設が若者の大麻使用の歯止めになる?

今まで検挙されなかった使用について重い刑罰で処罰することになりますので、薬物使用に対する抵抗感が増加し、大麻使用の歯止めになると考えられます。

もちろん、使用に対する治療プログラムを充実化することも必要になってきます。   いずれにしましても犯罪として処罰されることになるわけですから、今までよりもより一層薬物に近づかないということが大事になります。

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

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「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。
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