●本家の視点…インスパイアは「モノマネ」なりに敬意や遠慮があった→今は金儲けに走っている
ラーメン二郎が語られる際に、そのフォロワーである「二郎系」や「インスパイア」にも話が及ぶことがある。グループとの違いについて、ひと呼吸おいて語り始めた。
「何度も言いますが『安くてうまいラーメンを提供してお客様に喜んでいただく』。そこが大きく違います。
ラーメン二郎は人の褌で相撲を取ることはしていません。必ず1年ほど修行して、親父さんたちの背中を見て、仕事とお客さんにどう喜んでいただくかを学んでいきます。
多店舗展開して、店長さんに給料を払って、(現場を)人に任せて、自分では麺を作らずに経営だけしていくと、お客さんの声が聞こえてきません。
それはラーメン二郎が望んでいる営業スタイルではないので、インスパイアのお店とは違うと思います」
取材前日、三田本店の厨房に立って客と笑い合う山田さんの姿が思い起こされた。
山田さんたちからは、昨今のインスパイア系が金儲けに走っているように見えているようだ。
「かつてのインスパイアは、ラーメン二郎があって自分たちがあるという感謝や、お客さんへの気持ちもマネしなければいけないという尊敬がありました。今は、他人の褌でどうしたら儲かるか、です。ひどい人になると、本当は修行してないのに、三田の本店で修行しているとお客さんに話している店まであります。
以前のインスパイア店はモノマネしているくせに、胸を張ってインスパイアだと言っている人はいませんでした。
『モノマネの店ができて困っている』と加盟店から相談されて見に行くと、加盟店の営業が終わるのを待って遠慮するように営業を始めるインスパイア店もありました。
それがよいと言いたいわけではありませんが、インスパイア側には遠慮もあったし、ラーメン二郎に対する尊敬もあったのです。今は口先だけで、似たようなものを作って、お客さんから高額なお金を取って、実際のところはお客さんが喜んでいるかわかりません。
何回も言いますが『安く上手いラーメンをお客さんに提供する』という基本的なところを誤っている方が多いのかなと思います」
●インスパイア店に起こした過去の訴訟「また糸がぷつんと切れたら訴訟も辞さず」
話は「山田さんの哲学」に及んだ。
「食材は本部一括購入のほうが安いと言われますが、お客さんに喜んでもらえるラーメンを作るために、野菜や豚は地元の業者さんを使ってくださいと各店主にお願いしています。
その土地の出店によって、地元業者さんの売上が上がり、一緒に仕事できて良かったとなれば、味方をしてくれます。店舗に材料を入れてくれると、決まったところに置いてくれるし、肉なら必ず冷蔵庫に入れてくれるんです。店主がいい加減なやつだと、業者さんは肉を冷蔵庫に入れてくれないことがあります。
我が振りを考えるときに、業者さんの対応を見れば自分のこともわかるだろうというのが、親父さんの哲学です」
2000年代後半ころには、取り組みのひどさが目に余るインスパイア店に対して、不正競争防止法に違反しているとして、民事訴訟を起こしたこともあった。
「不正競争防止法の裁判も勝訴的和解になっています。その店には営業をやめてもらいました。今は他の名前で続けているんじゃないかと思います」
「親父さんも最初は『インスパイアも頑張ってるからいいでしょ』と言っていましたが、しかし、最近はちょっと酷すぎます。ラーメン二郎系とかインスパイアとか、『二郎をリスペクトしています』という言葉だけで、お客さんはおいといて、客が来るからやっちゃうというのは道義的にどうなのか。
どこかでぷつんと糸が切れたら、訴訟等の対応になってくるのかなと思います。過去の裁判の結果なども使って、どうにかできないかと考えているところです」
配信: 弁護士ドットコム