年齢階級別の罹患率・死亡率
肺がんは、罹患率・死亡率ともに年々増加している肺の病気です。国立がん研究センターの2019年度のデータをもとに、肺がんの年齢階級別罹患率と死亡率をまとめました。
年齢階級別罹患率
男性も女性も50歳を境に肺がんの罹患率が増え始め、60歳以降は年齢が上がるにつれてさらに罹患率が上昇していきます。2019年度の年齢階級別罹患率では、男女ともに95歳でピークを迎えました。
男性の具体的な罹患率の推移は、65歳で290.2、75歳で540.2、85歳で644.7、95歳で703.4と、右肩上がりの傾向を示しています。一方、女性は65歳で113.4、75歳で195.1、85歳で205.9、95歳で239.8と、70歳以降はほぼ横ばいの状態であることがわかります。
年齢階級別死亡率
2020年に肺がんで亡くなった人は75,585人(男性53,247人、女性22,338人)でした。肺がんの年齢階級別死亡率は男女ともに60歳から増え始めますが、男性は70歳から、女性は80歳から急増しています。男性の肺がんによる死亡数は54,247人と、ほかのがん種と比べても特に多く、部位別がんの死亡原因としては第1位です。女性の場合も大腸がんに次いで多く、22,338人が肺がんで亡くなっています。
肺がんのステージ別の生存率
がんの進行度を示すステージ(病期)は、肺がん取扱規約に基づき、国際的指標であるTNM分類で決定されます。さらに、ステージごとに手術、薬物療法、放射線治療のいずれかを検討し、がんの性質や患者さんの体の状態も考慮して治療方針を決めていきます。
2014〜2015年度の国立がん研究センターの集計によると、ステージ別の肺がん(非小細胞肺がん)の5年生存率は以下のとおりですので、参考にしてください。
ステージ1
早期肺がんの病期であるステージ1の5年生存率は、84.1%です。治療方針としては、肺にがんがありリンパ節転移がない場合、できるだけ優先的に手術が検討されるでしょう。
がんとその周囲の健康な組織の一部を取り除くことで、がんの根絶を目指します。また、再発のリスクを最小限に抑えるために、手術前後に化学療法などが行われることがあります。
ステージ2
ステージ2での5年生存率は、47.7%です。がんがある側のみにリンパ節転移がある場合は、根治を目指して外科的手術が行われます。患者さんの年齢、希望、合併症を考慮して、放射線治療が行われることもあります。
ステージ3
ステージ3での5年生存率は、28.2%です。肺にあるがんが周囲の組織に浸潤している場合や、肺と同じ側だけでなく縦隔のリンパ節まで広がっている場合には、手術、放射線治療、抗がん剤を組み合わせた治療が行われます。
治療方針は患者さんの状態によって異なるため、詳しくは担当の医師と十分に相談してください。
ステージ4
ステージ4での5年生存率は、8.4%です。より進行した状態の肺がんであるため、病気の進行を遅らせる、症状を和らげる、生活の質を向上させることを目的に、抗がん薬を用いた化学療法が優先されるでしょう。
また、がんを治癒させることよりも延命が主な目的となるため、痛みや呼吸困難などの症状を和らげる緩和ケアも重要な選択肢のひとつになります。
配信: Medical DOC