のべ1600人の発達障害児(でこぼこちゃん)をサポートした経験を持つ森川敦子氏の初書籍『発達障害児のママで博士が教える でこぼこちゃんの個性が輝く育て方』。発売まであと3日となりました。
発売を記念して、プロローグの一部をお届けします。
* * *
著/森川敦子 イラスト/はやはらよしろう
原因は脳のアンバランス
でこぼこちゃんは、いいところと悪いところの「落差」が、まるでナイアガラの滝のようで、ときに「わざとじゃないか」と思えてしまうほどです。
でも、でこぼこちゃんたちは、わざとやっているわけではありません。
なまけたり、さぼったりしているわけでもありません。
もちろん、親の育てかたのせいでもありません。
でこぼこちゃんたちの「でこぼこ」つまり発達障害は、生まれつき脳の発達がアンバランスなために起こります。
なぜ脳の発達がアンバランスになってしまうのかは、まだ十分解明できていません。遺伝などさまざまな説があります。
うちの子は、「おしゃべりが大好きで言葉をたくさん知っているのに、授業中ノートに文字がまったく書けない」と困っていました。
そこで7歳3ヶ月のとき、知能検査(WISC)を受けると……
読んだり話したりする能力は実年齢より2歳近く高い9歳10ヶ月。
でも書く能力は実年齢より2歳近く低い5歳6ヶ月でした。
9歳と5歳では4つも違います。子どもの4歳差は大きいですよね。
周囲は表面に出ていた「おしゃべり、語彙が豊富」という面を見て、書くことに対しても「このくらいはできるだろう」と思いこんでいたのですが、発達がでこぼこであったために、書く能力は育っていなかったのです。
知的なでこぼこが、行動や能力のでこぼことなって現れていたのです。
くり返しますが、お子さんのでこぼこ、つまり発達障害は、脳の発達がアンバランスなために起こります。親の育て方や本人のせいではありません。
残念ながら、まだまだこれを知らない人が多くいます。
「みんな」と同じようにできない部分だけを見て、「変な子」とレッテルを貼ったり、「なまけている」「がんばりが足りない」「親が甘やかすからだ」などと責める人たちが、残念ながらまだいます。
そしてそんな無知で心ない言葉に傷つけられて、自己評価を落としてしまうお子さん、ママ・パパのなんと多いことか。
発達障害があるお子さんが、がんばっていないなんてことは、ありませんよね。
むしろ普通の子以上に努力しています。ママやパパだって一生懸命やっています。
今がんばっている人だけでなく、がんばりすぎて「もうがんばれない」と途方に暮れている人も少なくないことを、私は知っています。
得意を伸ばし、苦手を補う
「でこぼこちゃんの苦手を克服させよう」、とがんばっている人には残念な事実をお伝えしなければなりません。
どんなにがんばっても、魚が木に登れないように、苦手なことは苦手なままであることが多いのです。
原因は生まれつきの脳そのものにあるのですから、でこぼこちゃんが苦手なことが、ある日急に得意になるということはありません。
それどころか、苦手の克服ばかりに挑戦していると、できない経験がどんどん積み重なって「自分はできない子なんだ」と、お子さんはどんどん自信をなくしてしまいます。
それならば……苦手を克服するよりも、得意を伸ばしていく、という方向で考えてみてはいかがでしょうか。
いいところは伸ばし、足りないところは補うのです。
そうすれば、でこぼこちゃんの子育ては、笑いが絶えなく楽しい方向へと動き出します。
ママ・パパの子育てのストレスがすべて消えるわけではありませんが、わが子と自分自身を肯定して、心の底から人生を楽しめるようになります。
大切なのはたった2つです。
(1)わが子のいいところを見つけて、伸ばしていく
(2)わが子の苦手なところは、補う方法を考えていく
お子さんが人生を切り開いていくために、この2つをしっかり考えていきましょう。
* * *
「発達障害は親の育て方や本人のせいではありません」。森川先生のあたたかいメッセージに、ほっとした方も多いはず。
本書には「発達障害の原因」や「受診の仕方」、「おうちでできる療育」など、効果的なノウハウが詰め込まれています。『発達障害児のママで博士が教える でこぼこちゃんの個性が輝く育て方』、ぜひ全国の書店、ネット書店でお手に取りください!
配信: 幻冬舎Plus