『サクセスフルエイジング』という言葉を聞いたことはありますか?
成功した老化、つまり「上手に老いる」ことを意味します。
サクセスフルエイジングを目指すために、重要なこととは何か?
今回は、今年の11月1日に公開された新しい報告を交えながら、サクセスフルエイジングについてお話ししたいと思います。
そもそも『サクセスフルエイジング』って何?
そもそも、『サクセスフルエイジング』とは何を指すのでしょうか?
言葉そのものは米国で誕生し、構成要素に関しては研究者の中でもさまざまな意見があるのが現状です。
ですが、
●長寿
●生活の質
●社会的貢献
などの要素で構成されると考えられています。
国立長寿医療研究センターによる報告では
1)重大な疾患がない
がん、慢性肺疾患、糖尿病、心臓病、脳卒中の 5つの慢性疾患のいずれかと診断されたことがあるかどうか
2)日常生活動作に支障がない
5つのADL、着替え・入浴またはシャワー・食事・ベッドや布団からの出入り・トイレの使用に問題がないこと
※ADL・・・Activities of Daily Livingの略で、日常生活を送るために最低限必要な動作を意味する
3)認知機能を維持している
認知機能テストのスコアが中央値以上であること
4)積極的に活動している
社交クラブ、地域活動、ボランティア、余暇活動などの社会活動や労働をおこなっている
の4つで定義されています(出典:The Journals of Gerontology: Series B, Volume 76, Issue Supplement_1, June 2021, Pages S17–S26)。
『サクセスフルエイジング』が老化の過程にうまく適応し、幸福な老年期を迎えることを目指すのに対し、『アンチエイジング』は老化を食い止めていつまでも若々しさを維持することを目指します。
つまり、老化に対抗するのがアンチエイジング、老化を受け入れ天寿を全うすることがサクセスフルエイジングといえるでしょう。
サクセスフルエイジングのために重要なことは・・・睡眠!!
アンチエイジングより、サクセスフルエイジングの方が性に合っているなぁと感じた方もいるでしょう。
では、サクセスフルエイジングのために重要なこととは何なのでしょうか?
中国の研究チームによって、毎日7時間以上の睡眠をとることが、サクセスフルエイジングを目指す上で重要であるとの報告がされました(BMC Public Health 24 , 3029(2024).)。
45歳以上の3,306人を対象に調査をしたところ、サクセスフルエイジングの基準を満たしたのはわずか455人で、約13.8%だったのですが、そのうち約67%にあたる307人が7時間以上の睡眠をとっていたのとこと。
実は、英国バイオバンクによる成人50万人のデータでも、30代後半~70代前半の人にとっては7時間の睡眠が最も良いと報告されています(Nat Aging 2 , 425–437(2022).)。
あなたは毎日7時間寝ていますか?
実は日本人は世界的に見ても睡眠時間が短いといわれています。
平均睡眠時間で見てみると、6時間以上7時間未満の割合が最も多く、男性:35.2%、女性:33.9%となっています。
さらに、6時間未満の方は男性:38.5%、女性:43.6%にも上ります。
推奨されている7時間に満たないのは、男性:73.6%、女性:77.5%となり、成人の7割以上が睡眠時間が不足しているといえるのです。
また、特に30~50代の男性、40~60代の女性に睡眠時間が短い方が多くなっています(出典:厚生労働省 令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要)。
仕事に子育てなど、日々忙しい年代ではあると思いますが、心身の健康のためにも、しっかり睡眠を取りたいですね。
ちなみに、休日などにひたすら寝る、いわゆる「寝だめ」は健康に対する効果はあまり確認されていません。
むしろ、1日に9時間以上の長すぎる睡眠は、心身へのさまざま弊害が懸念されており、注意が必要です。
毎日の規則正しい生活が重要といえます。
あなたは毎日7時間眠ることができていますか?
健康に、幸福に老いるためにも、1日7時間を目指してしっかり睡眠をとるようにしましょう。
[執筆者]
船木 彩夏
化粧品メーカー研究員
[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」
<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士一般指導員
・健康管理能力検定1級
[監修]キレイ研究室編集部
配信: キレイ研究室
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