「自動車のハイビームのせいで、目の前が見えなくなって事故が起きました」。そんな相談が弁護士ドットコムニュースに寄せられています。
相談者によると、街灯が少ない夜道を自転車で走っていた時、反対から走ってきた自動車のハイビームで「目の前が真っ白になった」といいます。そのため、相談者はハンドル操作を誤り、前から来ていた自転車と接触、ケガをしてしまったそうです。
自動車はそのまま走り去りましたが、相談者は自動車のナンバーを記録しました。
「車の運転手に、治療費や自転車の修理代を請求したいです」という相談者ですが、可能なのでしょうか。力武伸一弁護士に聞きました。
●夜間は基本的にハイビームだが…
——そもそも自動車を運転する際、ハイビームはどういった時に点灯すべきなのでしょうか。また、どういった時に灯火を消したり、光度を下げたり(ロービーム)するべきなのでしょうか。
道路交通法(以下「法」といいます)52条1項及び道路交通法施行令(以下「政令」といいます)18条1項により、原則として、夜間、自動車が道路を通行している場合、道路に駐車し、又は停車している場合、ハイビームで点灯すべきとされています。
また、法52条2項及び政令18条2項により、夜間、他の車両と行き違う場合又は他の車両の直後を進行する場合に他の車両の交通を妨げるおそれがあるときは、灯火を消し、灯火の光度を減ずる(ロービーム)等、灯火を操作しなければならないとされています。
——対向車がある時はいわゆるロービームにしなければならないとのことですが、歩行者や自転車がいる場合、自動車の運転手はどう対応すべきでしょうか。
法52条2項及び政令20条により、ロービームを前提に、歩行者や(車両等に含まれる)軽車両である自転車に対してより注意して運転すべきと考えます。
——相談のように自動車によるハイビームでそばを走っていた自転車同士が事故を起こした場合、自動車の運転手に対して、賠償請求することは可能でしょうか。
法52条2項及び政令18条2項違反で(車両等に含まれる)軽車両である自転車の運転手はハイビームの自動車の運転手に対して損害賠償請求することは可能と考えます。交通トラブルに詳しい弁護士に相談してみるのも良いかと思います。
【取材協力弁護士】
力武 伸一(りきたけ・しんいち)弁護士
佐賀県伊万里市出身。2007年、日本大学法学部法律学科(法職課程)卒業。 2009年、東北大学法科大学院修了。2012年、弁護士登録し、岩永法律事務所(現:弁護士法人岩永・新富法律事務所)入所。2018年、力武法律事務所開設。
事務所名:力武法律事務所
事務所URL:https://rikitake-law.jp/
配信: 弁護士ドットコム