●日本の教育が子のアザコンを増長させている?
そもそも、子どもがアザコンになる原因はどこにあるのだろうか?
「親によって、自分と他の子の違い=その子らしさが否定されることなく、どれぐらい肯定的に受け容れられてきたかということが、子どものアザコンに深く関与しているのではないかと推測します。そもそも日本の教育自体、他者との違いを個性として伸ばすことよりも、“集団のなかでうまく調和できる子どもを育成すること”に重点が置かれているので、このような状況にいる限り、日本の子どもたちは、みな当然のごとく他者を気にする能力に長けてしまう。欧米のように個人主義が確立されている国の子どもたちよりも、他者に合わせる、他者を意識する能力が問われるというわけです」(森氏 以下同)
こういった日本の教育土壌に置かれた子どもたちが、他者の目を必要以上に気にせずすむようになるためには、子どものうちから自己肯定感を育むことが必要。親がどれぐらい子どもの個性を認め、受け容れることを大切にしているかどうかが問われると、森氏は熱く語る。
「“他の子はうまくできるのに、なぜあなたはうまくできないの?”などと親に否定されて育ったり、親の願望通りの子どもになるように期待され続けた子どもの場合、大切な自己肯定感を育むことが難しくなります。それゆえ、常に自分を他の子と比較したり、あるいは人に自分がどう思われるかということが、必要以上に気になるようになってしまうのではないでしょうか。また、“親が世間体を気にする傾向が強い”なども、子が自己肯定感を育むことの大きな妨げとなります」
あなたの子どもは本当に大丈夫? 以下に子どものアザコンチェック項目を挙げる。
●子どものアザコン度チェック
1.何かを選ぶ際、(例えば、洋服を買う、習い事を始めるなど)、自分の好きなものや、やりたいことを選ぶのではなく、周りの子たちがやっているようなことを選ぶ傾向にある。あるいは自分で選べなかったりする。
(その子の主体性が親によって尊重されていないため、年齢に見合った自我が発達していないことの表れ)
2.人前で意見を述べることが苦手。
(うまくやらなければ人にバカにされる、嫌われるなど、「何事もうまくできなくては他者に否定されるかもしれない」という自己否定的な思い込みがある)
3.友だちに嫌なことを嫌だとはっきり言えない。
(他者に本音を言うことによって対立が生じたり、仲間はずれにされるかもしれないという、“見捨てられ不安”がある)
4.気分の浮き沈みが激しい
(他者の言動に影響されやすかったり、他者の評価によって自分の存在価値が揺らぐため、気持ちが不安定になりやすい)
5.本人にも理由がよくわからない状態で、登校することを嫌がる(現在登校拒否の状態にある場合も含む)。不定愁訴(頭痛、腹痛、下痢や便秘、チック症状など)がある。
(他者を過剰に気にし過ぎることに神経を消耗するため、学校での対人関係に疲弊し、学校の課題をこなす意欲が低下している)
「3つ以上の項目に当てはまる場合、お子様はかなり神経を消耗していると考えられます。しかしながら、1と2のみの場合は、あまり心配し過ぎる必要はないと思います。3~5の症状がある場合は、専門家のもとでカウンセリングなどを受けた方がいいかもしれません」
子どものアザコンは、自分でも気づかぬうちに神経を摩耗し、将来不登校を招く危険性も…。今からでも遅くない! 親は子どもそのものの存在を認め、人格形成において大切である“自己肯定感”を育む努力を!
(取材・文/吉富慶子)