大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の食事はどうすべき?Medical DOC監修医が前日の食事メニュー・消化の良い食べ物・悪い食べ物や発見できる病気などを解説します。
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監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
兵庫医科大学医学部医学科卒業後、沖縄県浦添総合病院にて2年間研修 / 兵庫医科大学救命センターで3年半三次救命に従事、近大病院消化器内科にて勤務 /その後、現在は淀川キリスト教病院消化器内科に勤務 / 専門は消化器内科胆膵分野
大腸内視鏡検査の前日の食事はどうしたらいい?
大腸内視鏡検査では先端にカメラがついている1.6m程度の長さのスコープを腸の中に入れていき、粘膜を直接観察する検査です。そのため、腸の中に便が残っていると粘膜を十分に観察することができません。検査の前に下剤で便を出したり、腸の壁にこびりついている便を全て洗い流したり(前処置)するのですが、それ以外にも検査前の食事に気を付けることも重要です。ここでは検査前の食事について解説していきます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは、大腸全体と小腸の出口付近(回腸末端)を先端にカメラがついている検査機器(スコープ)で直接観察する検査です。CT検査やレントゲン検査でははっきりとわからない腸粘膜の状態や、小さなポリープ、癌などの病変も、直接見ることにより評価・診断することができます。また、必要があればカメラの先端から処置具を出して、組織検査を行ったり、病変の治療を行うこともできます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)前日の食事メニュー
大腸内視鏡検査の前日は一日中絶食する必要はありません。ただし、何を食べてもよいというわけではなく、消化に良いものを腹八分目程度食べ、水分も多めにとるようにしましょう。食物繊維の多いものなどは、大腸に食べカスとして残ってしまうため、検査の妨げになることがあるので避けるようにします。また、アルコールは控えるようにしましょう。
食事メニューをどうすれば良いかどうしてもわからないという人には、「大腸前処置用検査食」として前日一日分の食事が1箱に詰まったものも販売されています。病院の売店などで購入できることが多いため、検査を受ける病院に聞いてみましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の何時間前から食事は控えた方がいい?
大腸内視鏡検査を受ける当日の朝は絶食です。前日は夜早い時間なら食事をとっても構いませんが、それ以降は水、お茶などの水分のみとなります。前日夜20~21時ごろまでに食事を終え、それ以降は食べないようにしましょう。どうしても仕事などで食事をしなければならないという場合は、遅くても22時まで、消化にいいものを少量のみとしましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)当日の食事メニュー
大腸内視鏡検査の当日の朝は絶食です。コーヒーなども控えるようにしましょう。水やお茶は飲めますが、検査2時間前ぐらいまででやめておきましょう(下剤を飲むときの水やお茶はまた別です)。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)前に食事をしてしまった場合はどうしたらいい?
大腸内視鏡検査の前に食事をしてしまった場合、食べたものや便が胃や腸の中に残ってしまいます。検査の準備として便を出そうと下剤を飲んでも、胃に溜まっている食物が大腸に流れるため、全て出さなければなりません。十分な検査が行えなくなってしまうので、検査の延期などが必要となります。検査を受ける病院と相談しましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)何時間後に食事はできるの?
検査の時に麻酔(鎮静)を使っているかなどの状況にもよりますが、麻酔を使った場合は検査後1時間程度安静にします。その後、水を飲んでみて特にお腹の張りや吐き気などの症状がなければ食事をすることは可能です。
大腸内視鏡検査では検査中に腸の中に空気をたくさん入れて行います。この空気が腸に溜まることによりお腹の張りや吐き気などが出てくることがあります。この状態で飲食をすると症状がひどくなってしまいます。この症状は排ガスなどで腸の空気がなくなってくれば徐々に治まってきます。水などを飲んでも症状がひどくならない、治まってきていることを確認できれば、食事をすることができます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)後の食事メニュー
大腸内視鏡検査後の食事については検査で何を行ったかによって異なります。単に腸の中を観察しただけであれば、飲酒を含めて特に制限はありません。検査後に水を飲んでみて、特に症状がなければ普段通りの食事をして構いません。ただ、腸が空っぽの状態からいきなり油物や刺激物を摂ると下痢などの症状が出る可能性もあるので、初めは消化に良いものからとっていく方が無難です。
生検した場合や小さなポリープを取った場合は、検査当日はアルコールや刺激物、脂物などは控えるようにしましょう。少し大きめのポリープを切除した場合は、周囲の粘膜ごと焼き切る形で取っている(内視鏡的粘膜切除術:EMR)ことがあります。その場合は刺激によって傷口から出血してしまうことがあります。1週間ほど刺激物、飲酒などは控えるようにしましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)前後に薬の服用や喫煙はしてもいいの?
大腸内視鏡検査前の食事についてはお伝えしました。では、薬やタバコはどうでしょうか。
まず、タバコについては少なくとも、当日朝は禁煙となります。喫煙をすることで胃や腸の血流が悪くなるなどの影響が出てしまうことがあります。できれば検査の1週間前からはやめたほうが無難です。また薬の服用についてですが、これはどんな薬かにもよります。基本的に医師から処方されている薬は、普段から継続して服用することが必要なものです。例えば喘息の薬であれば止めることはできません。高血圧の薬を飲まない状態では血圧が高くなってしまいますし、検査の時にも血圧が高すぎて検査を行うことができないということにもなりかねません。そのため、医師からの処方薬については基本的に検査2時間ほど前までに服用しましょう。ただし、例外はあります。例えば糖尿病の薬は血糖を下げる作用がありますが、検査の日は食事をしていないので糖尿病の薬を飲むと血糖が下がりすぎて低血糖になってしまうことがあります。そのほか、血液をサラサラにする薬などは検査の内容によっては中止しなければなりません。検査前にどの薬を服用してどの薬を中止すればよいか、医師に確認するようにしましょう。
消化の良い食べ物
検査の2、3日前からは大腸に残りにくい消化の良い食べ物を取るようにしましょう。ただし、食事量には気を付けて、食べ過ぎないように気を付けましょう。
うどんや白米
うどんやごはん(白米)、食パンなどは消化に良い食べ物で、食べかすも残りにくいので検査前の食事にも適しています。お米は消化に良いようにお粥にして取るようにするとより良いでしょう。
豆腐や白身魚
タンパク質は、絹ごし豆腐や脂肪分の少ない白身魚などで摂るのが適しています。赤身肉も脂肪分が少なく、食べることは可能です。
ポタージュやジュース
ポタージュやジュースなど裏ごしされているものは、繊維質が取り除かれているので食べても特に問題ありません。
配信: Medical DOC