●親の声かけが子どもの能力を伸ばす!
「保護者の皆様には、ぜひとも目先の試験結果だけでなく、学校行事や課外活動に対するお子様方の取り組みにも、今まで以上に興味を持って頂きたいと思います。また、家庭内においても、“お子様自身の考え”を引き出すような会話を重ねてください。例えば、 『いじめは許されないよね』よりは『どうすればいじめは防げると思う?』、『勉強しないと収入のいい会社に就職できないよ』」よりは『20年後も世の中の役に立ち続ける仕事は何だろう?』のように、お子様の主張を引き出す問いかけを心がけてみてはいかがでしょうか。勉強を押しつけるのではなく、お子様自身が成長しようとする“学びの意欲”を上手に引き出すことが大切です。声かけ一つでも、親御さんが意識していけば、新テストで重視されるような“思考力・判断力・表現力”も自然と伸びていくことでしょう」(神尾氏 以下同)
●受験において親がやってはいけない3カ条とは?
モンスターペアレンツの勢いはいまだ留まることを知らず、“行き過ぎた親の過保護”が、後々子どもたちの思考力や判断力を奪うことにもなりかねない。「わが子のため…」と思ってやっていることが裏目に出て、「子どもが新テストに全く対応できない…」そんな事態も招きかねないのだ。そんな過保護以外にも、受験生を持つ親が、絶対にやってはいけないことがある。
「まるで母親自身が受験するかのように熱心になりすぎて、受験生本人が取り残されている。ほとんど受験勉強に関わっていなかった父親が、急に受験校決定の場面で口出しをして、今までの積み重ねを台無しにしてしまう。さらに、子ども自身は行きたい学校なのに世間体を気にして合格しても通わせないなど、様々な事例を見てまいりました。指導者として、やりきれなさを感じることは多々あります」
最後に、大学受験全般において、【親がやってはいけない3カ条】を聞いた。
1.周りの意見に流され過ぎること。
→先輩の意見やインターネット上の噂を信じ込みすぎると、学校本来の姿が見えなくなります。文化祭や説明会に足を運び、自分の目で学校を判断して下さい。
2.親の考えを一方的に押しつけること。
→志望校や進路を親が勝手に決めているようでは、お子様の「思考力・判断力・表現力」は育ちません。親子それぞれの思いを表現し合い、納得がいくまで話し合いましょう。そして結論が出たら、親はサポート役に徹するのみです。
3.受験をゴールと見なしてしまうこと。
→合格も不合格も人生の通過点に過ぎません。不合格で人生を絶望する必要は全くないですし、合格したからといってバラ色の人生が待っているとは限らないのです。喜びや悲しみが一段落したら、今回の結果を次のステップにどうつなげていくかについて、改めて思考してみて下さい。
神尾氏が語るとおり、受験は決してゴールではない。本来子育てとは、立派に巣立ちさせることが目標であるはず。子どもの過保護や過干渉を続けていては、せっかく就職をしたところで、“まるで使い物にならない”と上司に嘆かれることにもなりかねない。子どもが中学に入ったならば、立派な巣立ちに向け、少しずつ子ども自身が判断、選択できるような機会を作ろう。日本が変わろうとしている今…それこそが、今ママたちが問われる“家庭力”であるのかもしれない。
(取材・文/蓮池由美子)