プールに入らなくても【プール熱】になるってホント?

第3回 夏に気をつけたい子どもの病気
「夏は冬と違って、風邪などのウィルスがない!」と油断しているママもいるのでは? ひと昔前なら、夏休みに入ると家にいる子どもが多かったが、今は真夏でも保育園や学童などで集団生活している子どもが多い。そのため必然的に、咳や鼻水から風邪がうつるリスクも高くなるが…。そこで、プール開きの時期から大流行する夏の代表的な風邪”プール熱”について取材。今年、横浜でクリニックを開業する医学博士・白畑敦先生に聞いた。

●プール熱とは?

「プール熱の正式名称は、“咽頭結膜熱“。“咽頭(のど)”“と“結膜炎(目)”の部分に症状が出ます。のどが腫れて痛み出し、白目やまぶたの裏側が赤くなり、結膜炎を起こします。他の夏風邪よりものどの痛みが激しく、39度前後の熱が出ます。2歳以上の幼児や小学生が多くかかり、赤ちゃんが感染することは少ないですが、兄弟からうつることはあります」(白畑氏 以下同)

プール熱は、“アデノウィルス“に感染することで発症するが、やはりプール熱は、プールで感染するのだろうか。

「プール熱は、その名の通りプールに入って感染することからこの名前が付いています。水を介してうつるほど強い感染力を持つ“アデノウィルス“が原因ですが、プールに行かないからといってかからないというわけじゃありません。くしゃみや咳などによる飛沫感染、そして便などからもうつります。感染力が強いウィルスなので、大人もかかることがあります」

夏の風邪

●プール熱の治療法は?

「熱が高い時は解熱剤、目の充血には点眼薬など、症状をやわらげる薬が処方されますが、安静にしていれば3〜4日もすると熱は下がります。特別な治療法はなく、自分の免疫力で治す対処療法となります。プール熱の一番の特徴である喉の痛みがひどくなっても、水分補給を忘れないようにしてください」

●プール熱の予防法は?

プールに行かなくてもかかるプール熱、何か予防法はあるのだろうか。

「当然、プールや温泉などに行かなければうつるリスクは下がりますが、同じように生活していても、感染する子としない子がいますよね。普段から体調管理に気をつけることが大切です。体がだるかったり目が赤かったりしたら、幼稚園や学校はお休みし、無理せずに静かにしていること。あとは普通の風邪と同様に、手洗いとうがいを徹底することですね」

夏休みは、ついつい親も一緒になって夜更かししてしまい、子どもの遊びも活発になるが、「子どもの疲れがたまっているな」と感じたら、まずは外出を控えよう。親として、子どもたちに無理をさせず、極力夏の病気に感染させないように努めたいものだ。

(取材・文/谷亜ヒロコ)

お話をうかがった人

白畑敦
白畑敦
医学博士
昭和大学医学部卒業後、大学病院の高度救命救急センター、地域救急病院での勤務経験を生かし地域医療に積極的に携わり2017年11月に横浜緑区にクリニック開業予定。
昭和大学医学部卒業後、大学病院の高度救命救急センター、地域救急病院での勤務経験を生かし地域医療に積極的に携わり2017年11月に横浜緑区にクリニック開業予定。