妊娠14週で病気がわかったわが子、胃や腸が押し上がって肺が育たない。「1人で悩むまず、支え合える場所を作りたい」【先天性横隔膜ヘルニア体験談・医師監修】

妊娠14週で病気がわかったわが子、胃や腸が押し上がって肺が育たない。「1人で悩むまず、支え合える場所を作りたい」【先天性横隔膜ヘルニア体験談・医師監修】

妊娠中のママ・パパの気持ちが尊重されてほしい

――患者・家族会を立ち上げ、感じたこと、気づいたことはありますか?

寺川 先天性横隔膜ヘルニアは、胎児のときに診断される場合が少なくありません。診断される時期によっても悩みは違うと思いますが、どなたも不安や孤独を感じるかと思います。この時期に、疾患についての正しい最新の情報を知ることはとても大切だと思いますし、自分の経験から、この時期に周囲の方などからサポートをしてもらったり、自分の気持ちを聞いてもらえることは、その後の人生につながってくると思っています。私は、ママ・パパたちが正しい情報を知って悩んで考えて出した答えはどれも間違いではないし、尊重されるべきだと思います。不安や孤独な思いをしているママ・パパの気持ちをお聞きして、そばにいたい、できる限りのサポートをしたいと思っています。

――今後、どのような活動をしていきたいと思っていますか?

寺川 患者・家族会には胎児診断された人、子育て中の人、成人した人、子どもを亡くされた方などさまざまな人がいます。どんな立場の人たちにとってもこの患者・家族会が安心できる場所にしたいです。また、必要としてくれる人に対し、誠実に向き合っていきたいと思っています。患者・家族会だからこそできる情報発信や交流もずっと続けたいです。さいわいにも、研究グループの先生方からも支援していただいているので、引き続き連携していけたらと考えています。
昨年、運営メンバーの交代もありましたが、新しい風を吹き込んでくださり、活動の幅が広がって感謝しています。

患者・家族会を立ち上げ、本当にたくさんの温かい優しい思いに触れる機会がありました。すばらしい出会いに恵まれたと思います。この疾患と向き合う人たちにとって、安心できる場所であり続けられるよう、頑張っていきたいです。

【臼井規朗先生から】患者・家族会は、患者家族にとっても医療者にとっても大切な存在

病気を診療する医療者にとって、患者さんやそのご家族が実際にどのような事で困られたり、悩まれたりしているかを知ることは非常に大切です。その事により診療や研究が今後進むべき道筋が明らかになるからです。私たちは患者さんやそのご家族の思いをフィードバックしていただける患者・家族会の存在を大変ありがたく感じています。
また、医療者側から理解しにくい悩みを、互いに支えあっていただける患者・家族会はとても貴重です。同じ病気で悩む患者さんやご家族のためにも、今後もピアサポートの活動を続けていかれることを心より応援しています。

お話・写真提供/寺川由美さん 監修/臼井規朗先生 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部

患者・家族会の立ち上げについて話をする寺川さんは、とてもおだやかな雰囲気でした。自身の経験を踏まえ、疾患に向き合う人たちが安心できる場所を作った行動力はとてもすばらしいと感じました。今後もさまざまな活動を続けていくに違いありません。

「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

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