クリスマスなんて大っ嫌い|佐津川愛美

クリスマスなんて大っ嫌い|佐津川愛美

と思って過ごしてきた。

毎年毎年。

この時期になるとイルミネーションが街に広がり始め、ワクワクどころか、切ない気持ちになる。

なんでこんなにクリスマスが好きではないかと思い返すと、特段いい思い出がないからのようだ。

子どもの頃はきっと楽しいこともあったとは思う。確かに、サンタさんからのプレゼントが楽しみで、ワクワクして眠れなかったり、絶対夜まで起きてる! と意気込んでみることもあったり、欲しいものではなくてガッカリしたこともあったのは覚えている。

 

 

小学校高学年になった頃

「サンタさん、もう知ってるでしょ? 今年で最後だからね。」と母からクリスマス前に言われ、翌年から本当にサンタさんが来てくれなくなった。

うすうす気付いていた罪悪感なのか、そんな風に言わなくてもいいのにと悲しくなったのか、サンタさんが来てくれなくなってワクワクがなくなったのか、その頃からクリスマスにいい印象がない。

 

大人になってからも、いい思い出と悪い思い出がきっとあって、でも悪い思い出の方が多い気がして、やっぱりクリスマスは好きではない。クリスマスパーティーやらクリスマスディズニーやら、誘われれば行くし、仕事なら仕事だし、1人の時ももちろんあるし。

ファミマのチキンにどハマりした時期、仕事帰りに単純に本当に食べたいだけなのに、クリスマス当日に1つだけ買うのは、なんか寂しい人と思われないかと思ったり、なんでそんな風に思わなくちゃいけないんだ、昨日と同じ感覚で食べたいと思っているのに、クリスマス当日となっただけで何でそんな風に考えてしまうんだ!! ︎と脳内会議をして微妙な気持ちになった年もあった。

好きじゃないと思っているから、街がソワソワしている感じにイマイチ乗り切れず、きっと単純に拗ねていたのだろう。

【楽】YOKOHAMA

今年は自分の心について色々と考える機会があり、その延長でクリスマスが近づいてきた頃にふと、「ってゆーか、単純に拗ねてるって、めっちゃダサいじゃん!」と思った。自分で悪い印象にして、自分で悪い思い出の出番を増やして、私は別にクリスマス好きじゃないし~って。ダッサ!! ︎

っと、やっと思えたということで

今年はクリスマスを楽しむ努力をしてみよう。っと突然思い立った。私にとっては大きな進歩である。

とりあえず、街でクリスマスツリーやイルミネーションが目に入ったら、写真を撮るというルールを決めた。驚いたのは、どこもかしこも、クリスマスツリーが置いてあること。大きな商業施設だけではなく、ロケ先でお邪魔した普通のビルや、歯医者さんや、民家の入り口やいたる所で見かけるようになった。

今まで意識してこなかったからなのだろう。

このツリーを、誰かが用意していると思うと、みんなクリスマスを楽しみにする、クリスマス気分を大切にするということを当たり前のように普通にやっているんだなぁと、尊敬した。

もちろん、自分たちが楽しむという部分があるだろうけれど、それを通りがかりに見た人にまで、クリスマス気分をプレゼントしている訳だから、なんて愛なんだ!! ︎と思った訳です。みんなすごい。当たり前に楽しみにしている人たちは日々をちゃんと生きているんだなぁ。

今年は私もみんなに紛れて、街でクリスマス気分を沢山感じてみようと思う。

あまりに沢山クリスマスツリーを見つけるので、写真フォルダがクリスマスだらけになりつつある。

ツリーの数だけ愛がある。

そう思うと、拗ねていたのが勿体無いなぁと感じる。

プレゼントも大切な人にみんな用意するのだろう。

クリスマス。

大っ嫌いだったけど、まぁ、悪くない。

好きになるまではもう少し時間がかかりそうだけど。

いつか好きになれたら、きっとそれもいい。

関連記事:

幻冬舎plus
幻冬舎plus
自分サイズが見つかる進化系ライフマガジン。作家・著名人が執筆するコラム連載、インタビュー、対談を毎日無料公開中! さまざまな生き方、価値観を少しでも多く伝えることで、それぞれの“自分サイズ”を考え、見つける助けになることを目指しています。併設のストアでは幻冬舎の電子書籍がすぐに立ち読み・購入できます。ここでしか買えないサイン本やグッズ、イベントチケットも。
自分サイズが見つかる進化系ライフマガジン。作家・著名人が執筆するコラム連載、インタビュー、対談を毎日無料公開中! さまざまな生き方、価値観を少しでも多く伝えることで、それぞれの“自分サイズ”を考え、見つける助けになることを目指しています。併設のストアでは幻冬舎の電子書籍がすぐに立ち読み・購入できます。ここでしか買えないサイン本やグッズ、イベントチケットも。