●近年は30年以上経過しないと仮釈放されない運用が常態化
無期懲役をめぐって刑法28条は、刑の執行が始まってから10年が経過し本人に改悛(かいしゅん)の状があれば、仮釈放することができると規定している。
だが、2005年の刑法改正で有期刑の上限が20年から30年に引き上げられたことなどから、近年は30年を超えないと仮釈放が認められない運用が常態化しており、無期受刑者の多くが塀の中で人生を終えている。
最近のケースを例に挙げると、「ルフィ」や「キム」などと名乗る指示役のグループによる一連の広域強盗事件で、実行犯とされる20代の若者たちに無期懲役の判決が言い渡されている。
もしこのまま無期懲役刑が確定した場合、現在の運用が続けば、彼らは少なくとも50代以降にならないと仮釈放の機会を得られないことになる。
●不透明な判断基準に批判、受刑者「死刑よりきつい」
また、無期懲役囚の仮釈放に関しては、その判断基準が不透明であることから、「法律に基づかずに内部通達の運用によって密かに終身刑とされている」などといった批判の声もある。
こうした「無期懲役刑の終身刑化」は、実際に服役している受刑者に心理的な影響を与えているようだ。
西日本の刑務所で服役する無期懲役囚の男性は、これまでの記者の取材に「一般的な死刑と違い、無期懲役は時間をかけて行われる死刑であり、終身刑と同じだと感じています」として、「無期懲役刑は死刑よりきつい」と打ち明けた。
最近、無期懲役刑を言い渡されたある男性は、記者への手紙に「わずかな希望がこれからの長い受刑生活を耐えていく糧の一つになる」と吐露し、無期刑に仮釈放の可能性が残されていることが受刑者に与える影響の大きさを訴えた。
配信: 弁護士ドットコム