問い詰めず丁寧に「理由」を聞く姿勢が大切
なぜ、子どもたちは「学校へ行きたくない」と思うのか。こど看さんは、精神科医・本田秀夫さんの言葉を紹介してくれました。
「児童精神科医・本田秀夫先生の言葉が印象に残っているんです。子どもたちは『勉強が楽しい』『勉強以外の活動が楽しい』『友だちと一緒に過ごすのが楽しい』『先生との関係が良い』のいずれか1つでもあれば、かろうじて学校へ行けるとおっしゃっていて、とても納得しました。
見方を変えると、4つの条件がいずれも当てはまらなければ不登校になりうるともいえます。私が実際にふれてきたケースでは「漢字がバラバラに見える」「授業中にさまざまな物音が気になる」といった理由で、通学できなくなった子もいました。そうした背景は、子どもたちの話をじっくりきいてみないとわからないことです」
こど看さんは、子どもたちの不登校が長期化する要因も考察します。
「考えられる要因の一つとしては周囲との比較で、日に日に学校に通いづらくなってしまうお子さんが少なくないと思っています。引きこもっている状況で『他の子は学校へ通えているのに、自分は通えてない』と、どんどん追い込んでしまうんです。大人の会話も意外と聞いていますし、自室から親御さんの会話が聞こえてきて『今日も親は自分が学校に通えていないと話している。僕のせいだ……』と、自分を責めてしまうお子さんもいます」
学校を否定するわけではない
世間では旧態依然とした“根性論”などで「不登校が解決できる」「無理矢理にでも行かせるべきだ」という意見も。子どもたちを無理に通学させるのは、根本的な解決になるのか。保護者側の対策を、こど看さんはアドバイスします。
「とにかく『学校へ復帰させよう』として、不登校の対策を打とうとする社会的風潮もありますが、医療側としては疑問もあります。お子さんにとって身近な保護者の方には、まず、じっくりお子さんの声に耳を傾けてほしいと思っています。学校に通いたくない理由を、丁寧に、話をさえぎらず聞いていくことが大切です。そして、子どもから語られた言葉を大人の価値観で判断せず、その子にとってもっとも良いことはなにかを考えていってほしいです。
こういうことを言っていると、時折誤解されることもありますが、私自身は学校を否定してるわけではないんです。勉強ができておいしい給食を食べられて、友だちを作れるかもしれない環境には、意味があると思っているんです。ただ、子どもたちが『通いたくない』と思うなら、今は、学校内の支援学級やフリースクール、オンラインスクールの選択肢もありますし、お子さんの意見を尊重して『本人、そして、家族にとってもっともいい環境とは何か』を、みんなで話し合うのが理想です」
配信: 女子SPA!