経済格差の拡大やAI・デジタル技術の進歩、社会全体の高齢化などにより、日本では特殊詐欺や侵入犯罪・強盗事件などが増加しています。
特に2024年は、闇バイトによる犯罪や警察のSNSに関する警告件数の増加が顕著です。
犯罪被害に遭わないためには自衛が必要ですが、どのような点に気を付ければよいのでしょうか?
この記事では、特殊詐欺や窃盗、侵入犯罪、強盗などの現状や、個人が取り組むべき対策についてご紹介します。
油断は禁物「特殊詐欺」
特殊詐欺とは、親族や公共機関の人間を語って被害者をだまし、金銭などを送金させる犯罪です。
特殊詐欺の手口や現状について見ていきましょう。
特殊詐欺の手口
警視庁の特殊詐欺対策ホームページによると、2024年10月末時点の特殊詐欺被害総額は約96億8,500万円に上ることが分かりました。
被害件数は2,704件にも及び、いまだに多くの人が詐欺被害に遭っています。
特殊詐欺の手口は多種多様で、非常に巧妙なものも少なくありません。
警視庁は2020年1月より、特殊詐欺の手口を以下の10種類に分類しています。
オレオレ詐欺:
親族を語って現金をだまし取る
預貯金詐欺:
警察官、銀行協会職員等を名乗る。「口座が犯罪に利用されている」と信じ込ませ、暗証番号やキャッシュカードをだまし取る
架空料金請求詐欺:
有料サイトや消費料金等を装う。「未払い金がある」と通知して、現金を振り込ませる
還付金詐欺:
医療費、税金、保険料等の還付金があると通知する。還付のために必要と偽り、現金を振り込ませる
融資保証金詐欺:
簡単に融資が受けられると信じ込ませる。融資のために保証金が必要と偽り、現金を振り込ませる
金融商品詐欺:
価値のない未公開株や高価な物品等について「儲かる」と信じ込ませる。購入代金として、金銭をだまし取る
ギャンブル詐欺:
「パチンコの打ち子を募集」という体で人を集める。登録料や情報料をだまし取る
交際あっせん詐欺:女性を紹介すると信じ込ませる。会員登録料金や保証金として金銭等をだまし取る
キャッシュカード詐欺盗(窃盗):
警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を名乗り、キャッシュカードを準備させる。確認するふりをしてキャッシュカードを盗み取る
その他の特殊詐欺
特殊詐欺に遭った人の中には、高圧的な態度や相手の言動に恐怖を感じて現金を支払ってしまう人も少なくありません。
「特殊詐欺にはだまされない」と自信がある人も、実際に被害者の立場に立たされると、「詐欺だと分かっているけれど怖くて支払ってしまう」という事態に陥る可能性があります。
参考:特殊詐欺とは 警視庁
▼SNS型詐欺やフィッシングによる被害が激増
2023年のSNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額は約455億円、フィッシング詐欺の被害総額は約87億円です。
SNSやキャッシュレス決済の普及により、SNSを媒介する詐欺やインターネットバンキングによる不正送金被害が激増しています。
SNS型の詐欺の手口には、以下のものがあります。
有名タレントなどになりすましてコンタクトを取る
高級車や札束をちらつかせ、成功者を装って近づく
抽選に当選したといって個人情報や金銭をだまし取る
恋愛感情を利用して金銭をだまし取る
特別なグループチャットに招待し、信頼関係を作ってだます
宅配便業者になりすまし「不在だったので荷物を持ち帰った」といって連絡させる
SNS型の詐欺は巧妙化しており、時間をかけて信頼関係を築いた上で詐欺を働くというケースも少なくありません。
「グループチャットで他の人もいるし……」と安心していると、被害者以外全員サクラだったというケースもあるようです。
SNSは顔の見えないつながりだからこそ、より慎重になる必要があります。
参考:国民を詐欺から守るための総合対策 概要|総務省 総合通信基盤局
特殊詐欺への対策
警察庁が行ったオレオレ詐欺の被害者調査では、「自分は被害に遭わない」と思っていた人は、「被害に遭うかもしれない」と答えた人よりも、実際には多く詐欺被害に遭っていたという結果が出ています。
同様に奈良県警の調査によると特殊詐欺被害者の9割近くが「被害に遭わない自信がある」という人だったそうです。
特殊詐欺は巧妙化しており、「自分は大丈夫」はあり得ません。
常に警戒意識を持ち、金銭の支払い等には注意してください。
ご家族に高齢者がいるご家庭は、電話への対策を徹底するのがおすすめです。
高齢者を狙った詐欺の多くは、電話が起点となっています。
ナンバーディスプレイを導入する・基本的に留守電にしておいて、折り返しの必要性を判断するなどを徹底しましょう。
またインターネットやSNSを介した詐欺を防ぐには「安易につながらないこと」が重要。
個人につながる情報を開示するのは控え、投資や副業の誘いは無視するのが賢明です。
不審なリンクやファイルが送られてきた場合も、絶対に開いてはいけません。
不審なアドレスからのメッセージに反応すると、乗っ取りや個人情報漏えいのリスクがあります。
参考:(警視庁に聞く、特殊詐欺の未然防止策) ─ 「私は大丈夫」が一番危ない!巧妙化する特殊詐欺の手口と防止策|知るぽると
参考:特殊詐欺 被害者の9割「被害にあわない自信あった」|TVN NEWS
ハイテク化している「車両盗難」
自動車を保有している方は、車両の盗難にも注意が必要です。
狙われるのは高級車・人気車ですが、一般の車両が被害に遭うケースもあります。
手口がハイテク化しているという車両盗難について見ていきましょう。
車両盗難の手口
警察庁が2024年6月に発表した自動車盗難等の発生状況によると、2023年の車両盗難の認知件数は5,762件でした。
ピークだった2003年の64,223件からは大幅に減少しているものの、ここ数年は増加傾向にあります。
車両盗難の手口は、「窓ガラスを割る」「針金などでロックを解除する」「キーが付いたままの車を盗む」などが定番。
このほか近年は、以下のような新しい手口も増えています。
リレーアタック:
スマートキーから常時発せられる信号を中継して車両のロックを解除する手口。特殊な機器を使用して複数人で行われる
CANインベーダー:
車載ネットワーク(CAN)に侵入し、セキュリティシステムを無効化する手口。高級車の盗難で多く見られる
コードグラバー:
持ち主がキーを使用した瞬間にスマートキーのIDコードを盗み取る手口
車両盗難の背後には、犯罪グループが潜んでいるケースが少なくありません。
盗まれた車両は解体されて海外に輸出されたり、他の車両と合体させて販売・流通されたりすることが多いようです。
また車に付いていたカーナビ・ステレオなどは転売されるほか、ナンバープレートが犯罪車両のカモフラージュに使われることもあります。
参考:車の盗難から愛車を守れ!最新の盗難手口を警察が徹底解説|特集|JAF Mate Online
車両盗難への対策
先述した警察庁の資料によると、車両盗難の発生場所は「一般住宅」が最多です。
家庭での防犯対策の徹底に努めましょう。
車両盗難を防ぐ上で気を付けたいのは、以下のポイントです。
確実に施錠する
イモビライザー(キーと車のIDを照合してエンジンを動かすシステム)を搭載する
人感ライトを設置する
ハンドルロック・タイヤロック・ホイールロックを設置する
駐車監視機能付きドライブレコーダーを搭載する
スマートキーを金属缶などに収納する
スマートキーを金属缶に入れるのは、キーから発せられる電波を遮断するためです。
窃盗犯は、スマートキーから絶えず発せられる電波を利用して車両を盗難します。
電波を遮断することは、リレーアタックを防止する上で有効です。
2023年に車両盗難が多かった県は、上から千葉県、愛知県、埼玉県、茨城県、神奈川県です。
全国の車両盗難の55.6%が、この5県で発生しています。
また車両盗難に遭いやすい車種は、上から「アルファード(トヨタ)」「ランドクルーザー(トヨタ)」「プリウス(トヨタ)」「レクサスXL(トヨタ)」「ハイエース(トヨタ)」です。
該当県に住んでいる方・該当車両を保有している方は、特に盗難対策を徹底しておきましょう。
配信: ASOPPA!