12月18日に最終回を迎えた「全決」こと「全領域異常解決室」(フジテレビ系)。「ヒルコ」は誰なのか、とりあえずは柿澤勇人演じる「不老不死になった人間」である直毘吉道ということで、映画「羊たちの沈黙」でレクター博士がされていたような拘束具を取り付けられて刑務所に入れられていたが、「なんだー、ヒルコは直毘だったんだー」と納得した人は誰もいないことだろう。だって大ラスで、入院していたはずの二宮のの子(成海璃子)が病室の窓から逃げ出していたから。
さらにベッドの上には、「ヒルコ」がイザナギとイザナミから生まれた「初めての神」とされながらも海に流されてしまった時に乗せられていた、“わら納豆”から納豆を抜いたようなアレ=わらの舟が置いてあったのだから。「やっぱり二宮(成海)がヒルコなのかも」「直毘がヒルコを名乗っても納得できない」といった声がネット上にあがるのは当然だろう。
また、最終回で突然登場した溝端淳平演じる全決京都本部室長の日野克己こと「ヒノカグツチノカミ」を、たった1話だけの登場で終わらせるなんて、もったいないにもほどがある。日野(溝端)が登場した時の、「中二病」を意識したことがあるオトナの心を刺激する炎に包まれたカッコイイ感じから転じて、結局は福本莉子演じる豊玉妃花こと、水を操るトヨタマビメノミコトにコテンパンにされるドジっ子的なキャラは最高だ。しかも京都の「全決室長」という肩書は、続編を意識するなというほうがおかしい。続編は「京都編」で決まりだろう。
藤原竜也演じる興玉雅こと「アメノイワトノワケノカミ」と溝端演じる「ヒノカグツチノカミ」の絡みがもっと見たい。いや、見せてくれ。続編は溝端主演の「京都編」にしてもらって、興玉(藤原)はたまに出てくる感じでも構わない。今作で改めて「私も神です」というぶっ飛んだセリフをものともしない藤原の演技力にノックアウトされ、最終回で広瀬アリス演じる雨宮小夢こと「アメノウズメノミコト」の「神」の部分を守れなかったことを詫びながら泣く少年のような姿にフォーリンラブした視聴者も少なくないようだから、藤原には出番が少なくてもいいから続編にも必ず出演してほしい。
藤原主演だからこそ成立した、独特な価値観と主要キャラが「神様」という異色の今作。脚本の黒岩勉氏も、「グランメゾン東京」のスペシャルドラマや映画の脚本を書くより、「全決」の続編を書くほうが楽しいと思うんだけどな。
(森山いま)
配信: アサジョ
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