父が介護を必要とするようになったのは、本当に突然のことでした。それまで体が丈夫で、風邪ひとつひかない人だったので、定年退職してから急に体が衰えていく様子に、ただ驚くばかりでした。
感謝の言葉を口にしない父
日々の生活は一変し、買い物に行って三食の食事を作り、洗濯に掃除、そしてお風呂の準備まで、毎日が慌ただしく過ぎていきました。その中で、少しだけ気になることがありました。父は、まるでそれが当たり前であるかのように、感謝の言葉を口にしなかったのです。
もちろん、年を取れば体が思うように動かなくなっていくのは自然なことですが、私の中で何かモヤモヤとした違和感が残りました。介護する側として、感謝の気持ちが伝わるだけで、心に少し余裕ができるものだと感じたのです。
父にしてもらうことを増やしてみた
そんな中で、ふと考えました。何でもかんでも手を貸すのではなく、父にもできることを少しでもやってもらうほうが、お互いにとって良いのではないか、と。
それは父自身にも張り合いができ、私も気持ち的にラクになれるのではないかという思いが芽生えました。そこで思い切って、洗濯物をたたむことと食器洗いを「父の仕事」としてお願いしてみることにしました。
配信: 介護カレンダー