これが〝呉爾羅〟か 紅葉と古民家、そして...逃げ出したくなる迫力に5.2万人感服「これぞ日本の原風景」

これが〝呉爾羅〟か 紅葉と古民家、そして...逃げ出したくなる迫力に5.2万人感服「これぞ日本の原風景」

「これぞ日本の原風景」――そんなつぶやきと共に、納得したあと二度見せざるを得ない光景がX上に投稿された。

そこに写っているのは、赤や黄色に色付く木々に、茅葺屋根の古民家。そして……。

……ご、ゴジラだぁぁ!!

民家の屋根を遥かに超える背丈に、太い尻尾。皆さん、そんな近くに立ってて大丈夫!? 薙ぎ払われちゃわない!?

思わず心配になってしまう1枚は、福岡県在住のXユーザー・タケ(@take_all_a)さんが、2024年12月8日に投稿しもの。

一体どうしてこんなところにゴジラが? Jタウンネット記者は10日、まずは投稿者のタケさんに話を聞いた。

写真映えという「下心」は消滅

タケさんがゴジラと遭遇したのは24年12月初旬。福岡県筑前町の安の里公園でのことだった。

同園では11月3日に、筑前町の毎秋の地域イベント「ど~んとかがし祭り」を開催。ゴジラは、そのシンボルとして制作された「巨大わらかがし」(藁で作った大きなかかし)だ。

2015年から毎年異なるデザインで作られていて、今年は2023年公開の映画「ゴジラ-1.0」をモチーフにしたデザインだという。

過去にも何度か巨大わらかがしを見に行っていたというタケさんは、「紅葉と古民家とわらゴジラの組み合わせは映えるだろう」と現地を訪問。そこで待っていたのは、予想を超える光景だった。

「実際に見ると写真映えという『下心』は消えて、巨大なゴジラ像を作った方々の技術力やチームワークに感嘆するとともに、素材が藁ということもあって紅葉や古民家、田畑と違和感なく調和した風景に素直に心打たれました。
『日本の原風景』とのポストはそういう気持ちを表しています」(タケさん)

それにしても、なぜゴジラ? 記者は16日、筑前町にも話を聞いた。

来場者の心を動かすわらかがしを

取材に応じた筑前町役場の職員によると、「ど~んとかがし祭」は、2005年に夜須町・三輪町が合併して筑前町となって以降、地域住民の連帯と融和を図る催し物として、毎年11月の第1日曜日に開催されている。

そこに「巨大わらかがし」が登場したのは、2015年。第10回開催を記念して、角材や竹で作った骨組みに「とば編み」と呼ばれる編み込んだわらで肉付け・造形した巨大イノシシを作ったのが、最初だった。

以降、毎年モチーフの違う「巨大わらかがし」が制作され、その10作目となる今年のモチーフに選ばれたのが、映画「ゴジラ-1.0」。

ゴジラ70周年記念作品である同作には幻の戦闘機「震電」が登場する。その取材のために映画スタッフが筑前町立大刀洗平和記念館を訪れたこと、また、映画で使用された震電の実物大模型を大刀洗平和記念館が購入したことが縁となった。

「また、筑前町合併20周年および巨大わらかがし10作品目という節目に来場者の心を動かし話題となるような作品を作りたいという思いがあったことから、『ゴジラ-1.0』の制作が実現しました」(同町職員)

高さ10メートル、幅5.6メートル、奥行き11.7メートル、重さ5.7トンの超大作。「藁で作った最も大きいフィクション上のキャラクター像(サポート有)」の名称でギネス記録にも認定されたゴジラの制作には、筑前町若者会や役場職員で構成される巨大わらかがし班を中心に、祭企画委員、中学生、区長会、シニアクラブ、文化協会など町内各種団体の約300人がとば編みに協力。その他の作業に携わった人も含めると、制作者総数は延べ1000人を超えるそうだ。

「『想像以上の大きさだった』、『クオリティの高さに驚いた』、『迫力がすごい』といった反響があり、県内外から多くの方に見学いただいています。有名人の方もお忍びで見学に来られています」(同町職員)

藁で出来ているとは思えないほど圧倒的な再現度とインパクトで聳え立つ、日本が誇る巨大怪獣。

その迫力ある姿に、X上では5万2000件以上のいいね(17日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。

「凄いの作ったなぁw」
「かなりリアルなゴジラですね」
「村の守り神」
「現代の龍神様じゃ~~~~~!」

「ゴジラ-1.0」の巨大わらかがしは2025年2月下旬頃まで展示予定(藁の状態により展示期間が変更になる可能性あり)なので、ゴジラファンの人もそうでない人も、一度その威容を目の当たりにしてみては? 12月25日の日没から午後8時までは、ライトアップも行われる予定だ。

なお、展示場所である安の里公園駐車場は駐車台数が少ないため、車で見に行く場合は「筑前町役場駐車場を利用するようにお願いします」とのことだ。

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