一方から話を聞くだけでは真相はわからないが、少なくとも子ども本人、あるいは親が「先生に嫌われている」と感じていることは確かなこと。
では、実際に「子どもが先生に嫌われる」と感じるのには、どんな理由があるのだろうか。教育評論家の親野智可等(おやのちから)先生に聞いた。
「子どもが先生に嫌われていると感じることはよくあります。子どもの思い過ごしという場合も実は多いのですが、嫌われると感じる理由もさまざまにあります」(親野先生 以下同)
親野先生は、考えられる代表的な理由を以下に挙げてくれた。
1、先生自身の人間性によるもの
先生自身がマイナス思考だったり、何かと否定的だったり、言葉がキツかったりするケース。この場合、クラスの子どもみんなが同じように「自分は嫌われている」と感じることも多い。
2、担任の先生とウマが合わないこと
「上の子と自分は気が合うけど、下の子は難しい(あるいはその逆)」など、親子関係においてすら「ウマが合う・合わない」というのはあるもの。その場合、先生が意地悪をしようと思っていなくても、子どもは嫌われていると感じることがある。
3、先生が非常に熱心で「しつけ」主義
熱心すぎる先生の場合、だらしのない子、手のかかる子はどうしても叱られる機会が増えてしまう。
4、実際に嫌われている
先生が人間的に未熟で、実際に特定の子に対して冷
たかったり毛嫌いしたりすることもないではない。
5、単なるボタンのかけ違い
先生にも子どもにも何の問題もないが、「元気がないときに、ちょっとした一言でグサッときた」など、たまたまのタイミングの悪さやボタンのかけ違いで、誤解が生じる場合も。
6、子ども自身が被害妄想的
何かにつけて思い込みが強いタイプの子もいる。そうした場合、ちょっとした一言や、注意による睨みだけで、「自分は嫌われている」と感じてしまう。
●友達やそのお母さんなどから、まずは情報取集を
実際には、本当に我が子が先生に嫌われているのかどうかわからない。しかし、親にとってはやっぱり気になるもの。では、どうすれば?
「本人の話だけでは客観性に欠けるので、まずは情報収集をしましょう。友達や友達のお母さんに『うちの子、最近元気がないみたいだけど、学校で何かあったのかな?』『先生に嫌われているって言うんだけど…』など聞いてみるのも良いと思います」
また、以前の担任の先生や、保健の先生に聞くのもおすすめだそう。
「もし、情報収集をした結果、お子さんの言った通りだと感じるのなら、担任の先生と一度、腹を割って話してみる必要があるかもしれません」
また、子どもの思い過ごしだった場合にも、子どもを責めず、また、心配することを「過保護」などと考えず、じっくり話を聞いてあげるべきという。
「子どもが苦しんでいるという事実は変わらないのですから、必要な場合はやはり担任の先生と話をしてみましょう」
話し合いをする場合に気をつけたいのは、感情的にならず、あくまで「困っている」「相談したい」というスタンスで話すこと。
子どもが本気で悩んでいるなら、一度先生と話をしてみては?
(田幸和歌子+ノオト)