「いや、何か違う・・・」生後6カ月で感じた異変。そのうち、何度もてんかん発作を繰り返すように【ウエスト症候群体験談】

「いや、何か違う・・・」生後6カ月で感じた異変。そのうち、何度もてんかん発作を繰り返すように【ウエスト症候群体験談】

インターネットで調べてウエスト症候群を疑うように

まきさんは、気になってインターネットで調べ始めます。

「インターネットで『赤ちゃん 手を上げる かたまる』などと検索していたら『てんかん』にたどり着きました。そこからさらに調べたら『ウエスト症候群』という病気を見つけ、ウエスト症候群の赤ちゃんの発作の動画を見たんです。その赤ちゃんのてんかん発作の様子が、じょーくんと同じで、夫と『もしかして・・・』と話しました。

でもウエスト症候群のことをさらに調べると『抗てんかん薬によるコントロールが難しい難治性である』『もともとできていたことができなくなるといった精神運動発達の退行が現れる』などと記されていて、怖くなりました。ただ早期発見・早期治療が必要ということも記されていてあせりました」(まきさん)

次に受診した小児科では、じょーくんの動画を見た医師から「ウエスト症候群の疑いがあるから、紹介状を書くのですぐに総合病院に行ける?」と言われました。そして、そのまま総合病院に向かうことになりました。

「小児科で『ウエスト症候群の疑いがある』と言われたとき、インターネットで調べて知っていた病名だったし、夫とももしかしたらと話していたとはいえ、頭が真っ白になりました」(まきさん)

総合病院の待合室で待っている間、看護師さんの目の前でじょーくんは1分ぐらいの発作を起こしました。

「このころは、発作の回数も増えて、発作の時間も長くなっていました。脳波の検査のためにじょーくんを寝かせるように言われ、ミルクを飲ませて、抱っこしてじょーくんを寝かしつけました。
そうして脳波検査が行われたのですが、脳波を見た医師から、『ウエスト症候群だと思う』との言葉が。しかしその日は専門医が不在で、月曜日に正確な診断ができるということでした。その日は金曜日でした。『月曜日には、脳神経内科の医師がいるから、このまま入院してもいいし、週明けの月曜日から入院してもいいけど、どうしますか?』と聞かれたんです。

『発作を抑えるビタミンB6の薬を朝・夕服用させるけど、それは家でもできる』と言うし、自宅で気をつけることを聞いたら『発作が起きた時間と回数の記録をとれば、あとは普段どおりの生活をしていて構わない』とのことだったので、取りあえず家に帰ることにしました」(まきさん)

てんかん発作は増え、入院の日は5分の間に40回も発作が

月曜日、夫婦で病院を訪れたまきさん。入院した日は、12:00~12:05の間に40回、13:00~13:03の間に20回も発作が。発作の回数は増えてきていましたが、こんなに発作が起きたのは初めてです。

「発作のとき、じょーくんはすごくかぼそい声で泣いて、とても苦しそうにするんです。でも私には発作を止めることができません。私にできることは、発作の回数を数えて、時間を計ることだけなんです。何もできずにつらそうなじょーくんの様子を観察するのは、本当につらかったです」(まきさん)

ウエスト症候群は、ヒプスアリスミアと呼ばれる特徴的な脳波が見られます。医師は、じょーくんの脳波検査の結果やてんかん発作の様子を見て「ウエスト症候群」と診断しました。じょーくんは生後7カ月でした。

「医師に原因を聞いたら『ウエスト症候群の80%ぐらいは、生まれる前や出生直後に起こる脳障害の合併症として発症するとのことでした。しかしじょーくんは残りの20%のほうで、発症までの発達は正常。検査でも異常を認めらないため原因不明のことが多い』と言われました。
また治療については、『まずはビタミンB6療法を行いましょう。ビタミンB6の薬を朝・夕服用しますが効果は20%程度です。でも副作用は少ない』という説明でした。

ビタミンB6療法を続ける中で、じょーくんはだんだん笑わなくなっていきました。ウエスト症候群の症状の1つのようです。ちょっと前までは、私があやすとケラケラ声を出してあんなに笑っていたのに笑わなくて。それが寂しくてしかたありませんでした」(まきさん)

ビタミンB6療法では効果が見られず、てんかん発作が減らないので、1週間後にACTH(アクス)療法に切り替えることに。ACTHとは副腎皮質刺激ホルモンを筋肉注射することで、副腎皮膚からステロイドホルモンの分泌を促し、発作や脳波を改善させる治療です。

「医師からはACTH療法は、80%程度の効果はあるけれど、ムーンフェイス、機嫌が悪くなる、免疫力の低下や脳の萎縮などの副作用があると説明されました。
筋肉注射は、足のつけ根に注射します。そのころチェックしていたウエスト症候群の赤ちゃんをもつママのSNSでは、ACTH療法を開始して2~3日で発作の回数が減ったと書かれているものが多かったのですが、じょーくんにはなかなか効果が見られなくて。でも治療スタートから5日目に、やっと発作が減ってきて明るい兆しが見えてきました。

発作が完全におさまったのは、入院から17日目で私の誕生日でした。あの日の喜びは忘れられません。
金曜日に疑いを告げられ、次の月曜日に入院をしてから入院期間は40日ぐらいでした。
退院後もてんかん発作が起きないように服薬は続きました。通院の間隔が少しずつあき、少しずつ薬が減り、4歳で薬を飲まなくてもよくなりました」(まきさん)

お姉ちゃんと同じ保育園に通い、成長してきたじょーくんですが、まきさんは発達の遅れが気になり始めていました。

お話・写真提供/まきさん 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

ウエスト症候群は、3000~4000人に1人の割合で発症すると言われています。まきさんは、「ウエスト症候群は早期発見・早期治療が大切な病気です。私も、悩んでいた時期にウエスト症候群の赤ちゃんの動画を見て、この病気のことを知りました。私と同じように悩んでいるママ・パパの役に立ちたくて、YouTubeでじょーくんのことを公開している」と言います。

インタビューの後編は、じょーくんの発達や軽度知的障害と診断されたこと、就学について紹介します。

「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

■YouTube
@じょーくんちゃんねる

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年11月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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