お別れのときこそ肝心です / kotoru / PIXTA(ピクスタ)
「また会いたい気持ちを伝えるために、お迎えよりもお見送りを丁寧に」。「お呼ばれのときは『5分遅れ』でうかがい、相手に心のゆとりをプレゼントする」…など、マナーといわれる行為の背景にあるのは相手への思いやりです。
マナーに添った振る舞いをすれば、おのずと相手も心地よくなり、あなたの印象がさらに良くなるかも。
77歳の今も現役で活躍する大人気のマナー講師・岩下宣子さんが本当に必要だと感じるマナーを通して、人生を軽やかに生きるヒントを教えてくれます。
※本記事は岩下宣子著の書籍『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』から一部抜粋・編集しました。
お出迎え3歩、お見送り7歩。別れ際に余韻を
「お出迎え3歩、お見送り7歩」。これはビジネスマナーでよく使われる言葉です。
お店にお客さまがいらっしゃるのはうれしいことなので、ウェルカムの大歓迎。ところが買い物がすんでお客さまからお金を受けとると、気が抜けて見送りがいいかげんになることがある。だからお見送りが大切なんだよ、お迎えの何倍も丁寧にしなさい。そういうメッセージなのです。
これは普段の生活でも言えることです。訪問してくださった方には、お出迎えよりお見送りのほうをより丁寧にしたいもの。お迎えは駅まで来てくれたのに、帰りは玄関でバイバイ……はちょっとさびしい。さっさと帰ってほしかったのかな、なんて考えてしまいます。
「終わりよければすべてよし」と言いますが、お別れのときこそ肝心です。お迎えは玄関まででも、お見送りは家の外まで出てお別れしましょう。
私は別れ際に「またお会いしましょうね」と言われると、とてもうれしい気持ちになります。私と同じように相手の方も楽しんでくださったのだな、また会いたいと思ってくださったのだなと思えるからです。
少し古風な言い方ですが、「また、お目文字(めもじ)がかないますように」という表現が私は大好きです。「お目文字」とは「会う」の謙譲語で、古くは女性特有の言い回しだったそうです。ときにはこのような表現を使ってみるのもいいですね。もしかしたら「私のために言葉を選んでくださったのね」と、思いが伝わるかもしれません。
『「また会いましょう」の思いを言葉と態度で』。
著=岩下宣子/『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』
配信: レタスクラブ