粉瘤の検査と診断
粉瘤の検査はどのように行うのでしょうか?
また、鑑別診断が必要な場合についても詳しく解説していきます。
粉瘤の検査
粉瘤は、皮膚の下にできる固い塊で、視診や触診だけで診断できることが多いです。そのため、特別な検査は通常必要ありません。しかし、ほかの腫瘍との鑑別が必要な場合や、粉瘤が特に大きい、または病変が深くまで及んでいる場合には、エコー検査、CT検査、MRI検査などの画像診断が施行されることがあります。これらの検査は、粉瘤の位置や大きさ、周囲の組織との関係を詳しく調べるために行われます。特に、粉瘤が深部に及んでいる場合や、周囲の組織に影響を及ぼしている可能性がある場合には、これらの画像診断が非常に有用です。しかし、これらの検査は全ての粉瘤に必要なわけではなく、医師の判断によります。患者さん自身が粉瘤の存在に気付かないこともありますので、皮膚に異常を感じた場合は、早めに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることがおすすめです。以上が、粉瘤の検査についての基本的な情報です。ただし、症状や状況により、検査の内容や方法は異なる場合がありますので、医師の指示に従ってください。
粉瘤の診断と鑑別診断を要するもの
粉瘤は皮膚の脂肪腺や毛包が閉塞し、その中に皮脂や角質が溜まったもので、無害とされていますが、似たような皮膚腫瘍と間違えやすいため、鑑別診断が必要です。以下で間違えやすい皮膚腫瘍を紹介していきます。石灰化上皮腫はやや黒っぽく、粉瘤よりも固い特徴があります。脂肪腫は化膿することはなく、皮膚との癒着は少ないです。ガングリオンは関節や筋の上にでき、穿刺すればゼリー状の液が貯留します。脂腺嚢腫症は遺伝性で、少し黄色っぽく青年期以後の男性に多いとされています。類皮嚢腫(デルモイドシスト)は胎生期の遺残物で、目や鼻の周りなどの骨縫合部に出来やすく、中に黄色の液体と毛などが貯留します。耳前瘻孔は耳の周囲の炎症性粉瘤と間違えやすいです。また、皮様嚢腫、側頸嚢腫、正中頸嚢腫、耳前瘻孔、外歯瘻、毛巣洞、石灰化上皮腫(毛母腫)、癤・せつ(おでき)なども粉瘤と似た症状を示すことがあります。
粉瘤の治療
粉瘤に炎症を伴うかどうかで治療方法は異なるのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。
炎症を伴わない場合
粉瘤は袋状構造物(被膜)で、その中には垢状物質が含まれています。この袋状構造物は薄い壁でできており、炎症を伴わない場合、細菌感染がなければ周囲の組織から簡単にはがれ、摘出が可能とされています。治療を希望される場合、手術を行う必要があります。被膜の一部は皮膚に癒着しているため、その部分の皮膚は一緒に切除し、再発を防ぐことが重要です。粉瘤は良性腫瘍であり、痛みなどの自覚症状がなければ、特に治療をせずとも問題ありません。しかし、放っておくと炎症を起こしたり、肥大化したりする可能性があります。そのため、見た目が気になる場合や、外的刺激を受けやすく、将来的に炎症や破裂を生じる可能性が高いと考えられる場合は、手術により切除することをおすすめします。
炎症を伴っている場合
炎症を伴っている場合、治療は通常よりも複雑になります。感染が軽度であれば、抗生物質や抗炎症薬を投与して症状を鎮静化させ、その後で摘出手術を行います。しかし、感染が重度である場合は、局所麻酔を施した後、腫れている部分をメスで切開し、内部の膿や角質を取り出します。その後、傷を開いたままにして自然に閉じるまで軟膏処置を続けます。傷が一旦閉じたら、後日残った腫瘍を摘出します。このような場合、治療期間が長くなり、傷跡も目立つ可能性があります。
配信: Medical DOC