粉瘤手術の種類
ここでは、主な粉瘤手術の種類として切開法とくりぬき法を詳しく解説していきます。
切開法
切開法は、局所麻酔を使用し、粉瘤の大きさによりますが、大半は日帰り手術が可能で、手術時間は約30分から1時間です。切開法の特徴は、粉瘤の直径と同じくらいの切開を行い、粉瘤を袋ごと取り出すことです。これにより、皮脂や角質が溜まることがなくなり、再発の可能性が低くなります。また、粉瘤の大きさや皮膚との癒着状況に関わらず、あらゆる粉瘤に対応できるというメリットがあります。一方で、切開法のデメリットとしては、傷跡が大きくなることが挙げられます。しかし、傷跡が大きくなるといっても、粉瘤の大きさに比例しますので、粉瘤が小さいほどそれに伴い、傷跡も小さくなります。 粉瘤の治療法を選択する際は、これらのメリットとデメリットを考慮し、医師と十分に話し合うことが重要です。
くりぬき法
くり抜き法は、局所麻酔を施した後、直径4mmほどのトレパンという円筒状のメスで皮膚を刺し、袋状構造物の一部をくり抜く手術法です。この方法では、傷口は開放創として自然に治癒させます。手術時間は短いですが、粉瘤が消えるまでの日数は長くなります。くり抜き法のメリットは、傷が小さくて済むことです。粉瘤の中心部をわずか4〜5mmほど切開し、そこから内容物と袋を取り出すため、傷跡が目立ちにくいのです。しかしデメリットもあり、再発の確率が高いことが挙げられます。これは、小さな穴から内容物のみを取り出すため、袋が残ってしまうためです。また、粉瘤が大きい場合や皮膚との癒着が強い場合は、くり抜き法では対応が難しい場合もあります。 以上のように、くり抜き法は手術時間が短く、傷跡が目立ちにくいというメリットがありますが、再発の可能性があるというデメリットも理解しておくことが重要です。手術法の選択は、粉瘤の大きさや位置、皮膚との癒着の有無など、患者さんの状況によります。
粉瘤の手術後
ここでは、粉瘤手術後に注意すべきことや考えられる合併症について解説していきます。
手術後に注意すること
手術後のケアは、手術の成功を左右する重要な要素です。その中でも、入浴、運動、飲酒、そして定期的な通院が特に重要です。まず、入浴は、傷口からの感染を防ぐために、抜糸まで湯船に浸かることは避けるべきです。湯船に浸かると傷口が濡れ、感染のリスクが高まるからです。しかし、シャワーは手術翌日から可能です。次に、運動については、特に背中は皮膚の伸び縮みが起こりやすいため、出血のリスクがあります。そのため、運動の内容や傷の場所によっては、手術当日と翌日、場合によっては抜糸まで制限されることがあります。 また、お酒については、血行が良くなり血腫のリスクが高まるため、手術当日と翌日は控えるべきです。最後に、手術翌日には必ず来院し、傷のチェックを行うことが重要です。そして、1週間後に再度来院し、抜糸を行います。これらの通院は、手術後の経過を確認し、問題がないかをチェックするために必要です。これらを守ることで、手術後の回復をスムーズに進められるでしょう。
手術後に多い合併症
まず、血腫は手術後によく見られる合併症で、縫合した部位に血液が溜まる状態のことです。これはドレーンという細いストロー状のチューブを使用することで予防可能です。次に、化膿は特に炎症性粉瘤を摘出する際に起こりやすいです。化膿した場合でも、適切な投薬治療や再手術により、傷は治癒できます。また、肥厚性瘢痕やケロイドは、傷を修復しようとする反応により、肉芽組織が増殖して起こります。これは通常3ヶ月を過ぎると落ち着き、半年〜1年経つと平坦で柔らかい傷に変化します。しかし、この反応が長引くと肥厚性瘢痕やケロイドが形成される可能性があります。特にケロイド体質の方や手術直後にその兆候が見られる場合は、医師にすぐに相談することが推奨されます。
配信: Medical DOC