衝撃が走った米大物女優の「健康な乳房の切除」。乳がんサバイバーの私も同じ検査を受けてみると

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子どもにも50%の確率で遺伝する


 さらに、もしBRCA遺伝子変異がみとめられた場合、子どもにも50%の確率で遺伝します。わが家は息子ですが、前立腺がんなどのリスクがほかの人より高くなるなど、やはり注意しなければならないそう。

 子どもが大きくなり、成人してから遺伝子検査はできますが、間接的にその「精神的負担」を背負わせることにもなります。

 そして保険適用といえど、自由診療で約20万円ということは3割負担でも6万円程度かかります。決して安くはないお金をかけて、自分と自分の子どもへの悩みを抱えてしまう懸念もあるわけです。

 だから、保険適用といえど「あえて受けない」選択もあるということです。その選択をした場合はマメな検診で対処することになります。

検査を受ける決断をしたワケ

 じっくりお話を聞いた後、初回で決める必要はないと言われ、次回面談までに考えてくるよう伝えていただきました。大事なことだから何度も話し合ってもかまわないと言われました。

 家でじっくりと考え、わたしは「受ける」決断をしました。こういう検査があると知ってしまった以上、いま受けなくてもきっとずっと頭の片隅に残るでしょうし、もし検査をしないまま乳がんの再発や卵巣がんに罹患したとき、きっと検査を受けなかったことを後悔すると思ったからです。

 次回の診察でも想いを伝え「受ける」と意思を伝えたときは緊張で冷や汗が出ました。けれど検査をしてしまった後でも、もし知りたくないと思えば聞かない権利もあると教えてもらいました。ただ検査費用はかかるので、検査を受けたら、結果まで聞くつもりでいました。

 検査結果が出るまでの日にちが読めないため、半年後を検査結果を聞く日としました。当日はものすごく緊張しながら診察室に入ったことを覚えています。そこで告げられたのは「該当なし」。ほっと肩の荷が下りました。

 ただ遺伝子研究と言うのは日々進化しており、BRCA遺伝子以外でも、病気を起こす遺伝子が今後新たに見つかるかもしれません。それは乳がんだけではなく、他のがんでも、他の病気でもありえるとのこと。

 私が採血する際にも、その他の病気の研究に検体を提供する同意をしました。ですので今もわたしの検体が、どこかで何かの病気研究に使われているかもしれません。

 医療が進み、遺伝子で罹りやすい病気が分かる時代。今後もこういった遺伝子検査はどんどん登場するでしょう。予防という意味ではとてもありがたいことですが「知る」ことのリスクもしっかりと把握し、慎重になるべきだと思います。

<文/塩辛いか乃 監修/沢岻美奈子(沢岻美奈子女性医療クリニック院長)>

【監修者:沢岻美奈子】

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。神戸にある沢岻美奈子女性医療クリニックの院長。子宮がん検診や乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を数多く行なっている。更年期を中心にホルモンや漢方治療も行い女性のヘルスリテラシー向上のために実際の診察室の中での患者さんとのやりとりや女性医療の正しい内容をインスタグラムで毎週配信している

【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako

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