闇バイトに応募すると、どんな犯罪につながる?  統計と手口を元警察官僚の弁護士が徹底解説

闇バイトに応募すると、どんな犯罪につながる?  統計と手口を元警察官僚の弁護士が徹底解説

●「闇バイトによる闇バイトの求人募集」もNG

ここまでみてきた類型以外にも、何気ない行為でも犯罪に該当していたというようなケースがあります。

【スマホの売り渡し】

自分名義のスマホを特殊詐欺グループに売り渡すことを繰り返すと、携帯電話不正利用防止法違反となります。

携帯電話不正利用防止法20条は、業として有償でスマホを譲渡する行為自体を禁止しており、これに違反すると2年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

他人に譲渡する目的を隠して新たに店でスマホを買った場合には、店に対する詐欺罪も成立することに注意が必要です。

【リクルーター業務】

闇バイトを募集するリクルーター自体も闇バイトが行っている事例が見られます。SNSや求人サイトなどで闇バイトの求人募集を行うと、職業安定法違反が成立します。

職業安定法63条は、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行う行為を禁止しており、これに違反すると1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金となります。

これも闇バイトを募集するだけなら犯罪行為にはならないと思ったというのは言い訳にはなりません。

【被害品の換金・保管など】

特殊詐欺や強盗などで手に入れた被害品(盗品)を運搬、保管、処分の斡旋をすると盗品等有償譲受罪が成立し、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金となります(刑法256条2項)。

たとえば、強盗で手に入れた金品を指示役のところまで運んだり、一時的に自宅で預かったり、質屋で換金したりする行為がこれに該当します。

闇バイトはほとんどの場合何らかの犯罪行為に加担することになるので極めて危険です。違法とは知らなかったという言い訳は通用しませんので、巻き込まれないよう十分な注意が必要です。

【取材協力弁護士】
澤井 康生(さわい・やすお)弁護士
警察官僚出身で警視庁刑事としての経験も有する。ファイナンスMBAを取得し、企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)も歴任、公認不正検査士試験や金融コンプライアンスオフィサー1級試験にも合格、企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他各新聞での有識者コメント、テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。陸上自衛隊予備自衛官(2等陸佐、中佐相当官)の資格も有する。現在、早稲田大学法学研究科博士後期課程在学中(刑事法専攻)。朝日新聞社ウェブサイトtelling「HELP ME 弁護士センセイ」連載。楽天証券ウェブサイト「トウシル」連載。毎月ラジオNIKKEIにもゲスト出演中。新宿区西早稲田の秋法律事務所のパートナー弁護士。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。
事務所名:秋法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/tokyo/a_13104/l_127519/

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「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。
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