冬の寒暖差疲労を防ぐためには、ぬるめのお湯での入浴や首のストレッチ、質の良い睡眠が効果的です。さらに、適度な運動と冷えにくい体作り、温かい食事を心がけることで、自律神経を整え寒暖差疲労を予防できます。今回は、寒暖差疲労の対策について「薬剤師」の村山さんに解説していただきました。
≫【医師解説】冬の「ヒートショック」を予防する方法はありますか?
監修薬剤師:
村山 菜奈(薬剤師)
6年制薬学部を卒業後、薬剤師免許を取得。化粧品メーカーの研究員として、スキンケア化粧品の処方開発、製品開発業務を担当。結婚・出産を経て、診療科や処方の幅が広い大学病院の門前薬局で薬剤師として勤務。現在は、2人の子どもを育てながら、薬剤師や化粧品研究員の経験を活かして、医薬品や化粧品の正しい情報をわかりやすく伝えることをモットーにwebライターとして活動中。
編集部
寒暖差疲労の症状を緩和するための対策方法を教えてください。
村山さん
1つ目の対策方法は、40℃前後のぬるめのお湯にゆっくりつかり、身体の芯まで温めることです。入浴によって血行が良くなり、精神的にもリラックスして自律神経が整います。自律神経は首周りに集中しているため、首までつかって温めましょう。2つ目の対策方法は、首をストレッチして筋肉の緊張を緩めることです。首周りは自律神経の通り道であるため、首のこりは自律神経の乱れにつながります。首を前後左右に気持ちよく伸ばしてストレッチしましょう。3つ目の対策方法は、質の良い睡眠をとることです。脳や自律神経の疲労回復には、質の良い睡眠が必要です。就寝の2時間ほど前からリラックスして眠るための環境を整えましょう。スマートフォンなどの強い光は交感神経を優位にして睡眠の質を下げると言われますので、就寝前の使用は控えてください。
編集部
寒暖差疲労が起こらないように予防する方法はありますか?
村山さん
冬の寒暖差疲労を予防するためには、自律神経を整えて冷えにくい体をつくることが重要です。規則正しい生活を基本として、適度な運動を行いましょう。適度な運動には血流を改善して気分をリフレッシュさせ、自律神経を整える効果があります。30分程度のウォーキングやストレッチなど、無理なくできる運動を続けましょう。エアコンなどの暖房器具の使用を控え、寒さに身体を慣らすことも寒暖差疲労の予防に効果的です。本来持っている体温の調整機能を弱めないためにも、エアコンに頼りすぎず、日常生活に適度な寒暖のリズムを作って自律神経をトレーニングしましょう。
編集部
寒暖差疲労が起こりにくくなる食事についても教えてください。
村山さん
冷たい飲み物や食べ物を控え、身体を温める食事をとりましょう。鶏肉などの肉類や、イワシ、カツオなどの赤身魚・青魚、ショウガ、にんにく、カボチャ、カブ、長ネギ、ニラなどの野菜、納豆や味噌などの発酵食品は体を温めるのでおすすめの食材です。一般的に冬が旬の食材は体を温めるものが多くて栄養価も高いので、旬の食材を選ぶようにしましょう。さらによく噛んで食べることで、ストレスが軽減して自律神経が整います。身体の調整機能を助けるビタミンやミネラルが不足すると自律神経の乱れにつながるため、主食、主菜、副菜を揃えて、バランスのよい食事を食べるようにしましょう。
編集部
あらためて、どのように冬の疲労感と向き合えばいいですか?
村山さん
自律神経が乱れると、寒暖差疲労のほかにもさまざまな不調を招きます。規則正しい生活や適度な運動、バランスの良い食事を心がけ、自律神経を整えて寒暖差に負けない身体をつくりましょう。
※この記事はMedical DOCにて【なんだか疲れやすい…「寒暖差による疲労」が起こる理由と対策方法を薬剤師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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