ブリーダーに何度も産まされ歩くことさえ許されなかった母猫たち、初めて日の光を浴びて思わず…… 涙こぼれる行動に「心が痛い」「動物は物じゃない」

ブリーダーに何度も産まされ歩くことさえ許されなかった母猫たち、初めて日の光を浴びて思わず…… 涙こぼれる行動に「心が痛い」「動物は物じゃない」

 廃業したブリーダーからレスキューされ、日光浴をはじめとした“生まれて初めてのこと”を体験する母猫たちの姿がYouTubeチャンネル「にゃんちゅうばぁCatTuber」に投稿されました。動画は記事執筆時点で18万回以上再生され、「心が痛い」「動物は物じゃない」などの声が寄せられています。

【保護 ブリーダー廃業】ブリーダーに何度も何度も産まされた母猫達 初めての日光浴

 投稿者さんは、家族ぐるみで犬猫の預かり、保護、TNR(※)に取り組み、その様子を同チャンネルで公開しています。以前は群れからはぐれ保護された、野犬子犬の幸せなビフォーアフターが注目を集めました。今回は廃業したブリーダーからレスキューされ、ありとあらゆる“生まれてはじめてのこと”に興味津々な母猫たちの姿を紹介します。

※TNR……Trap・Neuter・Return(トラップ・ニューター・リターン)を略した言葉。捕獲器などで野良猫を捕獲(Trap)し、避妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)こと

匿名の方から届いたSOS

 ある日、投稿者さんのもとに野良猫の保護活動をしている仲間から緊急のお願いが入りました。話を聞いてみると、SNSに匿名の方から「助けてあげてほしい」という言葉と、現場の住所だけが送られてきたといいます。その住所に向かってみると、そこには廃業したブリーダー宅、猫の繁殖場があったのだそうです。

 繁殖場の母猫たちは、金属製のケージに1匹ずつ入れられ、30匹以上が積み上げられていたといいます。ケージ内にはトイレも水もおもちゃもなく、ふん尿で汚れきった劣悪な環境。母猫たちの唯一の楽しみは、目の前を通るハエやゴキブリを眺めることだけ……。しかも廃業したからこの環境になったわけではなく、これが繁殖場の日常だったようです。

 何度も子どもを産まされ、子どもを産むための道具として扱われていた猫たちを救い出したい――。投稿者さんはそんな思いで、猫たちが預かりボランティアさん宅に行くまでの一時預かりを申し出ます。第一陣として引き出した8匹の猫たちはすぐにシャンプーをしましたが、1回のシャンプーでは染み付いたにおいが取れなかったそうです。

レスキューした翌日

 母猫たちをレスキューした次の日、様子を見に行くと……。そこにはずっとケージの中で生きてきて、誰かに教われる機会もなかったはずなのに、爪とぎをしたり、トイレを使ったりする猫たちの姿がありました。

 繁殖場にいる間、猫たちはずっと金網の上で排せつをしていたそうです。生まれてから今までずっとそんな環境だったにもかかわらず、自然とトイレが使える子がいることに驚きが隠せません。今はまだ床や爪とぎの上で排せつしてしまう子も多いとのことですが、そのうちトイレで排せつできるようになることでしょう。

 飼育されていた環境は劣悪ではあったものの、人に慣れていることから、猫たちは虐待をされていたわけではなさそうです。ただ1匹ごとにケージに入れられていたため、他の猫との触れあいは初めてだと考えられます。

 おそらく生まれて初めて食べるであろう、オヤツ乗せごはんをあげてみると、人前では緊張してごはんが食べられない子もいました。今回レスキューした中でも特に高齢な10歳かつ、毛が固まっていてシャンプーを断念した猫も食べてくれませんでした。

 その後レスキューした全ての猫に、避妊手術をすることに。10歳の猫は麻酔がかかっている間に固まった毛をバリカンでそりましたが……この状態で10年生きてきた猫の毛は驚くほどカチカチに固まり、足やおなかの毛も排せつ物で汚れていたそうです。

 それだけにとどまらず、おなかには帝王切開のあとがあり、口の中には大きな腫瘍ができていました。こんな状態でもブリーダーは「この子はよく子どもを産んでくれる」と得意げに話していたそうです。子どもさえ産んでくれれば、お金にさえなれば、母猫がどんな状態でも気にならないのでしょうか……。

 投稿者さんは「ペットショップで購入を考えている人は、その子猫の母親がどんな環境で産まされているか想像してほしい」と語ります。愛情を持って猫と向き合い、適切に飼養しているブリーダーも数多くいるものの、少なくともここにいる猫たちは皆、人間の欲を満たすための商売道具として扱われてきました。新たな命を迎える際は、このようなさまざまな背景があることを十分に理解しておきたいですね。

避妊手術の翌日

 翌日、手術のために夕ごはん抜きだった猫たちは、おなかが空いているようです。手術で体力を使ったのか、毛をそった10歳の猫もごはんを食べてくれました。

 この猫たちが家にいるのは短い間だけど、その間は少しでも良い環境で過ごしてほしい。投稿者さんはそんな思いから納戸を大掃除して、「猫部屋その2」に大改造しました。部屋の中にはふわふわのラグやホットカーペットが敷かれ、隠れ家や爪とぎ、トイレも完備されています。

 部屋に入った猫たちはあらゆる“初めてのこと”が気になり、興味津々な様子。部屋の中を散策したり、窓から外をじっと見つめたりするその姿を見ていると、この子たちは自由に歩き回ることや、窓から光を浴びることすら初めてだという現実に、胸が痛みます。

 金網ではない床で、あたたかな毛布の上に寝ころび、好きに歩きまわって満足するまで外を眺める……。そんな日常がこの子たちの当たり前となるように、そして太陽の光の暖かさも知らずに生きていく猫がいなくなるように、そう願ってやみません。

「これからはたくさんたくさん幸せになってね」の声

 動画には「この子達には辛かったことを忘れられるくらい幸せになって欲しいです。お世話してくださっている全ての方に感謝と尊敬をしております」「涙が出ます。これからはたくさんたくさん幸せになってね」といった、たくさんの感謝の声が寄せられています。

 YouTubeチャンネル「にゃんちゅうばぁCatTuber」とX(Twitter/@mtboYVSWqnFHoaU)には、今回レスキューした繁殖猫たちのほか、たくさんの犬猫たちを保護し、卒業へと導いていく保護活動が投稿されています。

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画像提供:YouTubeチャンネル「にゃんちゅうばぁCatTuber

三日月 影狼

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